モノづくり特化型クラウドファンディングサイト「zenmono」から、モノづくりのヒントが満載のトピックスを紹介する「zenmono通信」。今回は、ロボット工学や脳科学の視点から幸福の“因子”を探し続ける幸福学の第一人者である慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科 前野隆司教授にお話をお伺いした。
本記事はモノづくり特化型クラウドファンディングサイト「zenmono」から転載しています。※本記事の内容はzenmono掲載時のものです
enmono 本日は慶應義塾大学のEDGEクリエイティブラウンジにお邪魔して、慶應義塾大学のシステムデザイン・マネジメント(SDM)研究科 教授の前野隆司先生に、いろいろお話を伺っていきたいと思います。よろしくお願いします。
前野 はい、よろしくお願いします。
enmono 前野先生のご経歴を伺いたいんですけれども……。もともとキヤノンで研究開発をされていた、と。
前野 そうですね。超音波モーターという日本発の技術を研究開発していました。
enmono そこから義手の方に?
前野 義手だけではないですね。ロボットハンドとか、ロボットのための触覚とか、ヒューマン・マシン・インタフェースとか、ロボット研究は慶應に移った1995年からですね。キヤノンに9年勤めて、それから慶應の理工学部の機械工学科に13年いたんです。そこではロボティクス――ロボットや、ヒューマン・マシン・インタフェース関係の研究を――。
enmono それを(学生に)教えられてたんですか?
前野 そうですね。
enmono それで人工知能の方に?
前野 はい。元々の専門は機械工学なんですけど、ロボットに認知をさせて、笑うロボットとか人と接するロボット、あるいは触感で心地よいと感じるロボットの研究をしていました。人工知能とも関係しますよね。このように、徐々にロボットの身体からロボットの心へ興味が移っていったという感じです。
enmono SDM――システムデザイン・マネジメントというのは一言で言うとどういうことなんでしょうか?
前野 普通、学問って縦割りで分かれているじゃないですか。機械工学とか電子工学とか経営学とか経済学とか……、それらを横ぐしに刺して、あらゆる問題をシステムとして考え、関係性として捉えて新しくデザインし、それをマネジメントしていく、そういう新しい全体統合型学問のことを言っています。
前野 われわれの学問基盤の1つはシステムズエンジニアリングです。システムズエンジニアリングというと日本ではSEといってソフトウェア技術者みたいに捉えられるかもしれないですけど、システムとしてソフト・ハード・ヒューマンウェア、あらゆるものを、組織なんかも含めて考えるのがシステムズエンジニアリングです。日本だと狭く捉えられがちですけど。
enmono 巨大なシステムをどう最適化して設計していくかという。
前野 そうですね。結局ヒューマンエラーなども重要なので、人の組織・コミュニティーなどのデザインも含む学問になってきたんですね。そういう広い意味でのシステムズエンジニアリングです。
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