モノづくり特化型クラウドファンディングサイト「zenmono」から、モノづくりのヒントが満載のトピックスを紹介する「zenmono通信」。今回はユニークで便利なファイリングツール「NOUQUE」を開発した、キョーワハーツ 代表取締役 坂本悟氏が登場する。
本記事はモノづくり特化型クラウドファンディングサイト「zenmono」から転載しています。※本記事の内容はzenmono掲載時のものです
enmono 本日は株式会社キョーワハーツにお邪魔して坂本悟社長から自社開発商品の「NOUQUE(ヌーケ)」に関していろいろとお話を伺いたいと思います。今日はお時間いただきましてありがとうございます。
坂本 はい、よろしくお願いします。
パイプ式ファイルと同じだけの書類収納力を持ちながら、世界初の可動式綴じ具によって、これまでパイプ式ファイルではできなかった「どこからでも書類を自由に抜き差しする」ことを実現。
(出典:NOUQUEの公式Webページ)
enmono まずはヌーケについて、プレゼンテーションをお願いしてもよろしいでしょうか?
坂本 国内の生産がどんどん衰退している日本のモノづくり業界で、われわれはどうやって生きていこうか。商品開発をするのか。これまでにない技術を開発するのか。それを選択、あるいは両方やってかないと生き残っていけないのではないかと考えていました。
enmono いつ頃からそう考えるようになったのですか?
坂本 舵を切ったのが2011年。今から5年前、震災の直前ですね。携帯電話の仕事をずっとやっていたんですが、リーマンショックでガーッと売り上げが落ちて、新規開拓を一所懸命やるんだけど仕事がない。そういう状況下では価格勝負になってしまうので、このままでは道は開けないんじゃないかと。
ウチの会社は当時60周年を迎えた頃で、「次の30年どうやって生きていくんだ」ということも含めて、社内で激論を交わしました。それで2011年、震災の年から転換をしました。その年は東京都の都産技研(産業技術研究センター)で商品開発基礎講座に参加しました。それが2012年3月で終わって、(同年)5月からは他の社員さんが講座へ行きました。僕はちょっと視点を変えて、いろいろな開発手法を学びたいということで、enmonoさんの商品企画講座の方に参加しました。
enmono すごくタイミングがよかったんですね。
坂本 探してたんですよね。もっと勉強しなきゃということで。社員は社員で、「こういう講座に行かしてくれ」「マーケティングの講座へ行きたい。休日出勤手当はいらないから参加費と交通費だけ出してくれ」と。
坂本 2011年10月には、金型設計の一番腕のいい人を1人据えて研究開発室というのを作って、それから社内の商品開発の提案制度を作って、仕事が終わった後に商品開発する委員会みたいなものを作りました。そこでいろいろテーマを話し合って、そこでは結局、商品化まではできなかったけれど、試作をやってみたりはしました。「とにかくテーマを何か1つ見つけたいよね」と話し合っていました。
坂本 講座にプロトタイプを持って行って、「みんなどう?」って意見を聞いたんですよね。「うーん?」って言う方も、「面白いんじゃない?」と言う方もいました。私としてはウチの金属プレスの技術が生かせるんじゃないかという点と、この商品が狙っているターゲット層「2穴ファイルの書類の出し入れが大変だから何とかしたい」という皆さんに対して、解決策を提示する1つのツールになるんじゃないかなという点で興味がわきました。
坂本 このプロトタイプを見て、商品企画講座の皆さんのご意見も聞いて、われわれもやってみようかということで、講座を受けている途中でテーマをこのファイルの開発に変えました。そこからこの商品のポジショニングがどうだとかさまざまなお客さまにどうやって訴求していくのか、ターゲットをどうするか、そういうところをもみながら、実際にウチの社内ではこれを金属で作る、商品化していくという道筋がついたのです。
坂本 「書類の出し入れ面倒くさい」と皆さん思いながら毎日オフィスでやっている作業だと思うので、このヌーケでそれを解消できたらいいなと思います。ウチの会社には「世の中の役に立つモノづくりをしようぜ」っていう考え方もあるので、そこにつながっていく商品を作って、そういう訴え方をして、お客さまの役に立っていけるといいなと思います。
enmono これはもう販売しているんですか?
坂本 2015年7月の文具展に出してテスト販売をやってきて、(同年)10月1日からYahoo!ショップを立ち上げています。パンチャーについては今改良をやっていて、今はこのファイルとアシストプレート(クリアファイルなどいろいろなものに取り付けて、ヌーケのファイルに統一的に閉じられるもの)だけで取りあえず販売を開始しています。これだけあればこのファイルは結構使えるので(※収録当時)。
enmono これは今おいくらで販売しているんですか?
坂本 ファイルが1800円です。パンチャーがまだちょっと開発費が相当かかっているということもあるんですけど、5000円。アシストプレートは10枚組で480円ということで販売を始めたところです。ぜひ使ってみていただいて、「こんな使い方をすると便利だよ」「こういう品ぞろえをもっとしてほしいよね」といったお声をいただきたいなと思っております。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.