金属の温度分布を非接触で正確に計測する技術FAニュース

日本アビオニクスは、赤外線反射の影響を除去し、金属の表面温度を非接触で正確に計測する技術を開発した。従来の赤外線サーモグラフィーカメラでは困難だった、金属など低放射率物質の温度分布を非接触で正確に計測できる。

» 2017年08月02日 07時00分 公開
[MONOist]

 日本アビオニクスは2017年7月19日、赤外線反射の影響を除去し、金属の表面温度を非接触で正確に計測する技術を開発したと発表した。プロトモデルの販売や、同技術による特注製品の開発請負を同日から開始する。

 今回開発された技術では、測定対象からのみ放射される赤外線波長帯を利用することが可能で、測定精度の劣化を招く外乱の影響を受けずに温度計測ができる。これにより、これまで接触かつ点でしかできなかった金属などの低放射率物質の温度計測を、非接触で温度分布として捉えられるようになる。例えばアルミニウムでは、200℃以上の温度を±4%の精度で計測可能だ。

 同技術により、金型の温度分布を高精度に測定でき、複雑な形状の樹脂加工が可能になる。例えば自動車ボディーを樹脂製にして軽量化し、燃費向上に貢献するなど、エコ技術開発の促進につながる。また、金属複合材料の高精度な温度分布計測が可能となることでロボットの小型化や軽量化が図られ、2次電池用の材料研究が加速することから、電池の高寿命化も期待できる。

 赤外線サーモグラフィーは物体が自然に放射する赤外線を検出し、その放射強度を映像化すると同時に温度値に変換する。しかし、一般的な赤外線サーモグラフィーの測定波長では、測定したい物体の表面に、周囲の物体から放射された赤外線が反射してしまい、これが外乱となって測定精度が劣化していた。特に金属など放射率が低い物体ほど表面反射が強くなり、正確に温度計測できないという問題があった。

photo プロトモデルの外観
photo 測定画像例(溶融アルミ観測時)。アルミの放射率0.13で融点の633℃を正確に指し示す

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