キヤノンMJがナノ3DX線顕微鏡発売、半導体や全固体電池の研究開発/故障解析支援FAニュース

キヤノンマーケティングジャパンは、米国Sigray製のナノ3DX線顕微鏡「ApexHybrid-200」を販売する。

» 2025年05月27日 08時30分 公開
[長沢正博MONOist]

 キヤノンマーケティングジャパンは2025年5月26日、米国Sigray製のナノ3DX線顕微鏡「ApexHybrid-200」を同日から販売すると発表した。価格は3億〜3.5億円(税別)となる。

米国Sigray製のナノ3DX線顕微鏡「ApexHybrid-200」 米国Sigray製のナノ3DX線顕微鏡「ApexHybrid-200」[クリックで拡大]出所:キヤノンマーケティングジャパン

 複雑化が進む半導体製品の故障解析などにおいて、大型のプリント基板から小型のチップレットに至るまで、さまざまなサイズや構造のサンプルに対応する必要があり、それぞれに応じた多段階の工程にかかる作業時間が課題となっている。EV(電気自動車)向けバッテリーとして量産化が期待される全固体電池の開発においても、材料評価や構造解析といった作業が煩雑化しており、迅速かつ高精度な解析技術の導入が求められている。

 ApexHybrid-200Tは、X線を直交入射と斜入射に切り替えられるハイブリッド型ナノ3DX線顕微鏡だ。

 X線CT装置において一般的な方式である直交入射は、高い空間分解能の画像を得ることができ、細かい構造や微小な欠陥を鮮明に捉えることができる。一方で斜入射は、直交入射に比べより大きなサンプルを近接で観察することが可能で、サンプルを切断することなく非破壊での解析を実現する。

 ApexHybrid-200Tは、特許取得済みの斜入射機構「精密角度ラミノグラフィ(PAL)」と、直交入射の2種類の入射モードを搭載。PALモードでは、最大225mm径までの大型サンプルに対して、1μm以下のサブミクロンレベルの空間分解能で非破壊かつ短時間(約15分間、シリコンウエハーの場合)での測定が可能となっている。2種類の入射モードで、さまざまな形状や大きさのサンプルに対して最適な撮像を実現する。

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