SEMIジャパンが行った「SEMICON Japan 2024」事前記者会見で発表された半導体製造装置市場の見通しについて説明する。
SEMIジャパンは2024年12月9日、東京都内およびオンラインで記者会見を開き、12月11〜13日に東京ビッグサイトで開催される「SEMICON Japan 2024」の概要などを発表した。
本稿では、SEMIのSEMI市場情報担当チーム(Market Intelligent Team)のシニアディレクターであるClark Tseng(クラーク・ツェン)氏が発表した半導体製造装置市場の見通しについて説明する。
ツェン氏は半導体市場全般および半導体製造装置、前工程材料という3つのテーマで今後の見通しを紹介した。
まず、エレクトロニクス産業全体の販売額について、2024年第2四半期は前期比(直前の第1四半期)4%減、前年同期比2%増となっており、第3四半期は前年同期比4%増で、第4四半期も同様の伸びが期待できるものの、2024年全体では当初の見通しである前年比8%増より低い4%増にとどまるとした。
一方で、IC(集積回路)の販売額は2024年第2四半期に前期比8%増、前年同期比では27%増のプラスだった。第3四半期は前年同期比32%増、第3四半期は前年同期比32%、第4四半期も32%増と強い成長が予想されている。「メモリICが回復しており、大きな伸長に貢献している。AI(人工知能)関連のチップ、ASIC、データセンター向けの需要が急速に伸びている。AI関連以外はほぼフラットな状態で、2024年のICの売り上げはメモリが唯一のけん引車だった」(ツェン氏)。
また、ほとんどのアプリケーションで在庫の調整は終わっているが、車載や産業用の半導体は2025年上期まで在庫調整が続くとみている。「最終需要がまだあまり回復していない。在庫調整は皆さんが思っているよりも長く続いている」(ツェン氏)。
半導体製造工場の稼働率は2024年第2四半期から向上しており、第4四半期まで70%で推移する見通しだ。「この稼働率の上昇は、メモリ関連のチップの生産およびAI半導体の増産がある。2025年は急激ではないが、緩やかに伸びていくとみられている」(ツェン氏)。
大手IT企業を中心とするクラウドサービス事業者は設備投資を増やしており、2024年の1900億ドルから2025年は2300億ドル、2026年には2500億ドルを超える見通しだ。「ハイパースケーラーの設備投資は活発であり、少なくとも2026年までは続く。これらがAIチップ、AIサーバの急増につながっている」(ツェン氏)。
2024年の世界半導体市場は6000億ドルを超え、前年比で20%近い伸びとなる見込み。その後、成長は鈍化はするが2030年には1兆ドルに達するとした。内訳としては、サーバやデータセンター、ストレージの割合が大きくなっていく。「短期的にはAIデータセンターへの投資が堅調で、長期的にはエッジAIが伸びていくため、2020年代後半は堅調に伸びていくとみている」(ツェン氏)。
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