Lam Research(ラムリサーチ)はエッチング装置など半導体製造装置の新製品を発表した。
米国の半導体製造装置メーカーであるLam Research(ラムリサーチ)の日本法人は2025年5月14日、神奈川県内で記者会見を開き、同日発表したエッチング装置など半導体製造装置の新製品の概要を説明した。
新製品の「ALTUS Halo」は先端半導体機器向けのモリブデンベースの原子層堆積(ALD)装置だ。
半導体は、高速の電気信号が配線を通って移動し、コマンドを送信することで動作する。nm単位の構造がエッチングされており、銅の配線が使用できない場合は通常、タングステンを埋め込むことで必要な配線を形成する。
信号速度は金属の抵抗率が低いほど速くなるが、タングステンベースの配線では、不要な電気的相互作用を防ぐために追加のバリア層を形成する必要がある。NANDやDRAM、ロジック半導体が、3D化を含めて構造がより複雑になるにつれて、電気信号はより制限された伝送路を伝搬していくことになる。そのため、信号伝搬のボトルネックや速度低下の発生、電気的なショートを起こす可能性が高まっている。
ALTUS Haloで成膜が可能になったモリブデンは、タングステンよりも抵抗率が低く、接着層やバリア層を必要としないため、工程数を減らし、信号速度を向上できる。従来のタングステンに比べ、50%以上の抵抗値改善を実現しているという。
ラムリサーチ コーポレートバイスプレジデント 兼 ALD/CVDメタル担当ゼネラルマネジャーのカイハン・アシュティアニ(Kaihan Ashtiani)氏は「ALTUS Haloでは高速で成膜を行うためにユニークなアーキテクチャとモジュールを採用している。既にNAND、DRAM、ロジックの大手半導体メーカーに設置されている。新製品によって業界を次の段階へ導いていきたい」と語る。
同じく新製品のコンダクターエッチング装置「Akara」は、半導体デバイスの大量生産におけるプロセス歩留まりを最大化することを目的に設計された。
Akaraには、従来方式と比べて100倍速い応答性能でプラズマを生成し、EUVパターニングの欠陥を低減するDirectDriveや、イオンエネルギーを高精度に制御し、原子レベルの精度でエッチング形状を形成するSNAP、高い選択比(被エッチング膜とレジストとのエッチング速度の比率)を実現するTEMPOという新たな3つの独自技術が導入されている。
GAA(ゲートオールアラウンド)や6F2 DRAM、3D NANDなどのスケーリングに加え4F2 DRAMやCFET(相補型電界効果トランジスタ)、3D DRAMなどにも対応する。
ラムリサーチ 日本法人 技術統括部長の西澤孝則氏は「半導体はAIの時代に突入しており、計算能力の高度化に対する需要が急速に増加している。現在の半導体メーカーはスケーリングの限界をなんとか押し広げようと、競争を繰り広げている。AI時代を実現するためには、現在利用可能な最先端のプラズマエッチング技術をさらに超えるエッチング性能が求められている。このAkaraは、プラズマエッチングのブレークスルーを成し遂げた、市場で最先端の製品だ」と語る。
既に、Akaraは最先端のプレーナーDRAMやGAAアプリケーションなど複数の工程で、大手デバイスメーカーの生産向け標準ツールとして採用されており、多くの受注を得ているという。
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