最後に、言うまでもなく各国規制への対応であろう。欧州のCO2排出規制は、2015年までの130g/kmから、2020年までに95g/kmに強化される。そして、米国でも各メーカーからの平均燃費を規制するCAFE規制があり、温室効果ガスのメーカー平均を規制するGHG規制がある。さらには、米国カリフォルニア州のZEV規制の2018年モデルにおける強化策がある。
そして、今後中国でも導入が検討されている中国版ZEV規制も含めて、これら各国法規に対し、数多くのPHEV(地域によりEVを含む)を投入することで、規制をクリアしていく戦略と思われる。
ここまでをまとめると次のようになる。
このように、ドイツ自動車メーカーは一斉に舵を切った。これに対して、日系自動車メーカーはどのような対応策があるのだろうか。今後どういったパワートレインが主流になるのかと思いあぐねている間に、出遅れつつあるように見受ける。
基本的な打ち手は、ドイツ自動車メーカーが打ち出した戦略の裏返しであろう。また、PHEVが増えてくると、似たようなクルマが多くなり、特徴を出すことも忘れてはならない。その際は、日本が先行した「走るエネルギーデバイス」としての考え方も有効であろう。
円安により一息ついた日系自動車メーカーであるが、ドイツと中国との連携による攻勢、グーグル、アップルのようにゲームのルールを変えようとするゲームチェンジャーに対して、経営の不安度は増し、次第に孤立を深めているように思える。
負け始める前に、いま一度、戦略を立て直す重要な時期にきているのではないだろうか。
和田憲一郎(わだ けんいちろう)
三菱自動車に入社後、2005年に新世代電気自動車の開発担当者に任命され「i-MiEV」の開発に着手。開発プロジェクトが正式発足と同時に、MiEV商品開発プロジェクトのプロジェクトマネージャーに就任。2010年から本社にてEV充電インフラビジネスをけん引。2013年3月に同社を退社して、同年4月に車両の電動化に特化したエレクトリフィケーション コンサルティングを設立。2015年6月には、株式会社日本電動化研究所への法人化を果たしている。
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