連載
» 2013年02月27日 08時00分 公開

第18回 CADデータの統合前田真一の最新実装技術あれこれ塾(3/3 ページ)

[前田真一,実装技術/MONOist]
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 ところが、小型携帯機器の普及により、機器の小型化を実現する基板の超高密度実装が最も大きなキーテクノジーとして、その重要度が増してきました。このような高密度部品実装を行う基板では、フレキを使って基板を装置内で立体的に実装したり、部品の高さ方向のあたりチェックや空冷のエアフローの解析などの3次元機構解析が必要となってきました(図13)。このような、きめ細かい3次元機構を考慮した部品配置は、電気系CADではできませんし、データも部品形状などの細かい3次元情報が必要となります。このため、これまで基板レイアウトCADで行っていた部品配置は、多くの部品が3次元の機構CADで行う必要が出てきました。基板設計CADでは基板外形や領域だけではなく、部品配置情報もメカCADから取り込む必要が出てきたのです。

図13 図13 機構CADでフレキの折り曲げ検討(CATIA) http://www.3ds.com/jp/solutions/high-tech/high-tech/product-engineering/mechatronics-engineering/

 また、部品外形や高さ情報はメカCADと基板CADが個別にもつのではなく、共有した方が手間も掛からず、異なる部品を扱うことによるエラーも防げます。さらにメカ系、電気系共にCADからCAE、シミュレータが多く活用されるようになってきました。

 そしてこれらのシミュレータは、ソフトの進歩により、シミュレーション精度を求めるため、電気系のシミュレータや機構系のシミュレータで、機構の3次元データと電気の設計データの両方を必要とするようになってきました。また、コンピュータのデータバスが32ビットから64ビットへの移行し、IOデバイスやネットワーク速度の上昇により、大きなサイズのデータを扱うことができるようになりました。このため、機構系のデータに機構データを付加したり、機構系のデータに電気情報を付加するようなことができるようになったのです。

 機構CADの部品データがもつ複雑な3次元形状データや、基板CADでもつネット接続情報などは、電気とメカで共有されず、おのおの独自のデータですが、部品データとしてはもたせておき、CAD側で必要のないデータは使わなければ良いことです。

 機構CADと電気CADのデータの共通化は特に、両方の領域にまたがるような解析ソフトにとっては必要です。

 装置内の熱解析ソフトは筐体内の空気の流れを解析する流体解析ソフトが主に使われます。流体解析ソフトは基本的にこれら基板上の部品や筐体内の構造から、空気の流れを解析します。熱解析ではこの空気による熱の移動のほか、基板から筐体を伝わって流れる熱伝導、ヒートパイプなどによる熱の伝達の要素を解析します(図14)。

図14 図14 熱の伝達経路

 ここで、大きな要素は発熱源の設定です。発熱源の設定は電気CADからの部品配置情報と、個々の部品の消費電力から計算します。メカCADと電気CADの両方のデータを使うことにより熱解析の精度が向上します。また、この熱によって、基板がどのように変形し、部品や部品のはんだ付け部にどのような力がかかるかを解析する熱応力解析は、機構系CAEの分野となっています。

 逆に電気系シミュレータに位置付けられているEMIシミュレータでは、機構CADのもつデータが重要な解析要素となっています。電磁ノイズの放射は、実は基板の配線パターンは大きな要因ではありません。基板信号配線以外にも放射の原因は筐体内のケーブル、基板から筐体に流れるグランド電流、基板の電源、グランドの小さな変化、ICからの放射など多くの要因があります(図15)。

図15 図15 EMI放射の原因はいろいろある

 EMI解析には、ケーブルの引き回し、基板と筐体のアースの取り方、ICに取り付けたヒートシンクとそのグランド接続方法、基板と筐体とのねじ止め箇所とその接地など、機構系のデータが重要です。もちろん信号源として、基板のどの配線にどのような信号が流れているかの情報は基本です。

 このように、電気系ソフトに位置付けられているEMIシミュレータにも機構系データが必要とされています。また、信号の高速化とともに注目されてきた基板のビアや配線の特性を抽出するフィールドソルバでは、基板の3次元情報が必要となります。コネクタなどの特性を抽出するにはコネクタなど部品の3次元データが必要となります(図16)。

 このような基板や部品の3次元データはこれまでの基板設計CADではもってはいない情報です。

図16 図16 ビアの3次元データ構造 Simbeor

4. ジャストインシステム

 有名なトヨタ自動車の看板システムに代表されるように部品の手配、納入日程管理は、生産の効率化のために欠かせないものです。自動車に比べ、電子機器システムでは、製品の生産を含め在庫管理システムが遅れていました。

 しかし、自動車の電子制御が多くなり、さらにガソリン車からハイブリッド(HV)から電気自動車(EV)へと自動車の電気化への流れが加速されてきました。

 電子部品も機構部品とまったく同じ部品の手配、納入日程管理システムで運用する必要があります。厳しい自動車業界の管理システムが電子部品にまで対象としています。

 電子機器でも極限まで在庫をもたないアップル社の生産管理は有名です。アップル社は、自社では一切の製造を行いませんが、部品の調達から製造管理は徹底して行っています。

 このような部品の調達、入手管理の対象は電気部品、機構部品の別なく、全ての部品が対象になります。

 ここでは、また新しい部品に注目した電気と機構の協調設計管理が必要となります。


筆者紹介

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前田 真一(マエダ シンイチ)

KEI Systems、日本サーキット。日米で、高速システムの開発/解析コンサルティングを手掛ける。

近著:「現場の即戦力シリーズ 見てわかる高速回路のノイズ解析」(技術評論社)


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