第47回 内部ディスプレイ接続規格前田真一の最新実装技術あれこれ塾(1/4 ページ)

実装分野の最新技術を分かりやすく紹介する前田真一氏の連載「最新実装技術あれこれ塾」。第47回は内部ディスプレイの接続規格について解説する。

» 2016年01月28日 01時00分 公開
[前田真一実装技術/MONOist]
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本連載は「エレクトロニクス実装技術」2015年2月号の記事を転載しています。



編集部注:本記事の内容は「エレクトロニクス実装技術」2015年2月号掲載時点での情報となります。

1.装置内ビデオ信号接続

 カメラの電子ビューファインダーやスマートフォン(スマホ)、タブレット、ノートPCなど、装置内に液晶ディスプレイを持っている機器は多くあります。

 機器内のビデオ信号には大きく分けて、2種類の伝送経路があります。それは、「ビデオ処理LSIからビデオパネルへの伝送路」と「パネル内の伝送路」です(図1)。

図1:基板内伝送と装置間伝送

2.画像処理LSIとディスプレイの接続

 電子機器と外部ディスプレイ装置について、互いにどのメーカーが作ったものを接続するかは、ユーザーの選択になります。このため、接続には標準的な規格を決め、互いを接続するときに問題ないようにする必要があります。

 それに対して、同一機器内の液晶ディスプレイと画像処理LSIの接続では、セットメーカーが独自に最適と思われる設計をします。

 しかし、内部のデータ転送でも幾つかの標準的なシリアルデータ規格があります(図2)。

図2:画像LSIとディスプレイ接続

 現在は部品メーカーとセットメーカーの分業は当然のこととなっています。このため、液晶パネルのメーカーと各機器のメーカーが異なります。機器メーカーはスマホなど大量に製造する場合や、モデルチェンジで新製品に切り替える場合など、購入する液晶メーカーを複数にしたり、変更したりする場合があります。

 液晶メーカーは新規にセットメーカーに営業するとき、その都度インタフェースの仕様が異なっていると効率的ではありません。また、多くの個別インタフェースを開発したり、インタフェースを変えた多品種を製造することは効率的ではありません。また、セットメーカーにしても画像処理ICはICベンダーから購入したり、自分でASICを設計する場合でも、インタフェースなどの回路は、既に設計されているIPを購入する方が効率的です(図3)。

図3:標準化のメリット

 独自の設計をしてコストの高い回路を使うより、大量に流通している低価格の汎用品を使う方が効率的です。

 このように液晶メーカーにとっても、セットメーカーにとっても接続仕様が標準化されていることには大きなメリットがあります。外部のディスプレイ装置を接続する外部接続と、同一機器内の液晶ディスプレイを接続する内部接続では、必要な要件が異なります。

 外部のディスプレイ装置と携帯機器を接続する場合、接続ケーブルはある程度の長さが必要です。このためには信号の電流を大きくして長い距離の信号伝送ができるようにします。携帯機器のバッテリーは容量が小さいのですが、据え置きディスプレイ装置から電源供給を受けることによって、画像伝送と充電を同時に行える電源供給も必要となります。また、コネクタの形状の標準化が必要です。

 それに対して機器内接続の場合、外部からの電力供給はないので、接続回路の消費電力を小さくする必要があります。幸い、機器内接続のため、信号伝送距離は短いので、できるだけ信号の電流を小さくしてドライバの消費電力を削減します。また、コネクタの形状やピン数に対する標準化の必要性が低いため、ピン数を多くしたり、必要に応じてピン数を増やすことができます。データ転送速度が不足すると、レーン数を増やして、転送速度を増やすような規格が多くあります。このため、同じシリアルの画像データ転送規格でも装置間接続の規格と異なった装置内接続の規格が使われます。

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