LVDS(Low Voltage Differential Signaling)はNational Semiconductor(現:Texas Instruments)が液晶ディスプレイのインタフェース規格PDF-Link (Flat Panel DisplayLink)規格で開発した作動信号の回路です(図4)。
PDF-Linkは特に携帯機器を意識せず、一般デジタル電子機器の液晶ディスプレイ接続用に開発されました。その後、PDF-Linkとドライバ回路の両方をLVDSと呼ぶようになりました。このLVDS回路はCMOS回路(図5)より低消費電力で高速、長距離信号伝送が実現できます。
また、作動信号のため、電磁放射ノイズが少なく、同時スイッチングノイズも小さい(発生しない)という特長があります。
LVDSは信号は1.2 V、3.5mAの定電流ドライバで、信号に合わせて電流の向きを反転させます。これをレシーバ側で100Ωの終端で受けると、1.2Vを中心に±0. 35Vの作動信号を使います。つまり、一般の信号にすると、振幅は0.7 Vになります(図6)。
この信号規格はTIA/EIA-644、IEEE 1596.3で標準化されています。
LVDSのビデオ接続では3組のビデオ信号とクロックの4組の差動シリアル信号でデータを送ります(図7)。
信号とクロックを並列で送信し、受け取ったクロックでデータを切り出す方法をソース・シンクロナス方式と呼びます(図8)。
DDRメモリなど並列バスでよく使われる方式ですが、クロックとデータが同じタイミングでレシーバに到達する必要があります。伝送速度は、945Mbpsで、画像解像度が6ビットカラー、1400x1050で毎秒60フレームまでに対応しています。画面解像度や色数がこれ以上の場合、4組の作動信号を複数、並列に使って転送速度を上げます。
しかし、4K×2Kのディスプレイに対しては、24レーン(96ペア信号)が必要となってしまうため、より高速の規格が次々と発表されています。その後、ICの消費電力低減のため、電源電圧を低下させ、高速化を測ったmini-LVDS規格が制定され、この信号を使ったビデオ接続規格も同じくmini-LVDSと呼ばれます。このmini-LVDSでは信号はドライバの出力電流を2 mAに低減し、1.2 Vを中心に±0.2 V (作動400 mV)の信号を出力します。
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