実装分野の最新技術を分かりやすく紹介する前田真一氏の連載「最新実装技術あれこれ塾」。第49回は56Gbps伝送技術について解説する。
ずっといわれていることですが、信号の転送速度は、止まることなく上昇の一途を続けています。
PCI Express Gen4は現在のPCI Express Gen3が1レーンあたりのデータ転送速度が8Gbpsであるのに対し、その2倍、16Gbpsの速度になります(図1)。
規格のリリース自体は2015年の末か2016年になりそうですが、16GT/s(ほぼ16Gbps)の基板設計の難しさは、これまでとは比較になりません。
LSI側のドライバ、レシーバの回路は完成し、IPとして販売されているし、コンプライアンスについても決まっているのに、規格のリリースが遅れているのは、基板設計の難しさが原因ともいえます。配線長さの制限、コネクタの特性や個数の制限など、細かい詰めの段階と思われます。
ハイエンドとはいえ、PCI Expressは民生品です。サーバなどのハイエンド製品(HPC=High Performance Computer/Computing)にも使われますが、一般のPCでも使われます。
多くのメーカーが規格に対応したインタフェースカードやIO製品を製品化します。
これまでのPCI Express Gen3以前の規格との互換性も必要で、転送速度が倍の16Gbpsになったからといって、コネクタや基板はこれまでと同じ品質、製品でも動作しなければなりません。このような以前の規格と互換性を保ちながら2倍の速度の規格を規定することは、非常に難易度の高い技術です。
その一方、さらに格段に速いハイエンドで高速化に特化した領域では、銅配線による信号の伝送速度のさらなる高速化に向けての開発が進んでいます。
「銅配線では、これ以上の高速化は困難で、今後は光に向かう」との見解もありますが、「光ではコストや、システム上の問題もあり、さらなる銅の高速化を目指す」との意見もあります。
本連載でもここしばらく高速シリアルデータ転送について紹介してきましたが、最新の高速化の開発状況について紹介します。
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