日立グローバルライフソリューションズ(日立GLS)が栃木事業所内にある冷蔵庫生産ラインと、同社傘下で家電リサイクル事業を担う関東エコリサイクルのリサイクル工場を報道陣に公開。前編では栃木事業所における冷蔵庫やエコキュートの生産の全体像を紹介する。
日立グローバルライフソリューションズ(日立GLS)は2024年11月15日、栃木事業所(栃木県栃木市)内にある冷蔵庫生産ラインと、同社傘下で家電リサイクル事業を担う関東エコリサイクルのリサイクル工場を報道陣に公開した。冷蔵庫生産ラインは自動化を進めており、直近の3年間でさまざまな取り組みを重ねることで生産効率を30%向上するなどの成果を得ているという。
本稿は、今回の前編で栃木事業所における冷蔵庫やエコキュートの生産の全体像を、後日公開する後編で冷蔵庫生産ラインと関東エコリサイクルのリサイクル工場の取り組みを紹介する。
1945年に日立製作所(以下、日立)が設立した栃木工場を源流とする栃木事業所は、約80年にわたって冷蔵庫などの冷熱製品の開発と製造を手掛けてきた。同事業所内には、米国ジョンソンコントロールズと日立GLSの合弁企業である日立ジョンソンコントロールズ空調の家庭用ルームエアコン工場もあり、日立ブランドで販売される家庭用冷熱製品の一大拠点となっている。
栃木事業所の敷地面積は、日立ジョンソンコントロールズ空調や関東エコリサイクルの工場を含めて約89万6000m2。日立GLSに所属する従業員数は約1300人(2024年3月末時点)である。日立GLSの生産品目の月間生産能力は、冷蔵庫が5万台、エコキュートのヒートポンプユニットが1万2000台である。
日立GLS 常務取締役 COO ホームソリューション事業部長の豊島久則氏は「約80年の歴史を持つ栃木事業所では、日立GLSの“めざす姿”の中で掲げているサステナブル経営に向けて、モノづくりをはじめ環境配慮や地域共生の観点でさまざまな取り組みを進めている」と語る。
モノづくりの観点では、安全、品質、市場動向に合わせた生産、生産の自動化推進に取り組んでいる。これらの取り組みの詳細は、記事後編で取り上げる冷蔵庫生産ラインのレポートで紹介する。
環境配慮の観点では、家電の開発と生産を行う部門とリサイクルを担う関東エコリサイクルが同じ敷地内にある立地を生かした循環型モノづくりに取り組んでいる。例えば、再生プラスチックの使用を見据えた黒系のダークトーン部品の採用や、家電リサイクルにおける冷蔵庫のガラスドアの解体処理を効率化できるガラス研磨システムの開発などが挙げられる。太陽光発電システムの拡充による再生可能エネルギーの導入拡大も進めている。
地域共生の観点では、日立創業者である小平浪平氏の出身地が栃木市であることをきっかけに事業所が設立されたこともあり、同市とは深い関係性にある。また、同事業所の退職者コミュニティーが中心となって発足した日立栃木理科クラブは、小学生に理科の魅力を伝える「モノづくり教室」をボランティアで運営するなどしている。
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