大手ティア1サプライヤであるRobert Bosch(ボッシュ)の取締役を務めるDirk Hoheisel氏によれば、「Web技術の進化によって、2020年代には自動車もモノのインターネットに加わる」という。
大手ティア1サプライヤであるRobert Bosch(以下、ボッシュ)。同社の取締役会メンバーの1人で、オートモーティブ・エレクトロニクス事業とカーマルチメディア事業を担当するDirk Hoheisel氏が、自動車関連技術の展示会「オートモーティブ ワールド2013」(2013年1月16〜18日、東京ビッグサイト)の専門技術セミナーの基調講演に登壇した。
Hoheisel氏は、「Web技術の進化は加速している。ソーシャルメディアによって人と人とがつながるようになったが、今後は“モノとサービスのインターネット(Internet of Things and Services)”により、仮想的な世界と現実世界が結合するようになるだろう」と語る。
このWeb技術の進化は、車載通信モジュールやスマートフォンなどによって車両外部と通信する機能を獲得しつつある自動車にも大きな影響を与える。同氏によれば、「現時点において、自動車が車両外部と通信する機会は、車載情報機器のアプリケーション利用時に限られている。しかしこれからは、車載情報機器以外の車載システムでも、クラウドシステムを中心とする“サービスのインターネット”を活用するようになっていくだろう。さらには、全てのデバイスをインターネットに接続する“モノのインターネット”に、自動車も加わるようになる」という。
さらにHoheisel氏は、個人的見解として、「今から5〜10年かけて、自動車における“サービスのインターネット”の活用が進む。そして、通信の接続性やリアルタイム性、セキュリティ面の問題がクリアされる2020年代には、自動車が“モノのインターネット”の一部になるのではないか」と述べた。
こういったWeb技術による自動車の進化に向けて、課題となっているのがセキュリティである。Hoheisel氏が示唆する「自動車が“モノのインターネット”の一部になる時代」には、自動車の運転操作にまでWeb技術が影響を与える可能性がある。ということは、PCやスマートフォンのように何らかのセキュリティ技術を自動車に組み込んでおかなければ、車両や走行に関する情報の漏えいや改ざんが起こりかねない。Googleやトヨタ自動車などが開発中の自律走行車両(関連記事)であれば、セキュリティがなければ車両を乗っ取られる可能性もある。
そこでボッシュは、ECU(電子制御ユニット)に搭載する車載マイコン向けに、ハードウェアセキュリティモジュール(HSM)を開発している。HSMは、ECUに組み込む車載ソフトウェアのファームウェアとデータの整合性を確保するためのハードウェアIP(Intellectual Property)で、2013〜2014年にはエンジンシステム向けに、2015年にはシャシーシステム向けに提供される予定である。
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