ソニーは、「オートモーティブ ワールド2013」において、自動車内部で映像や音声のデータを送受信するのに用いる高速インタフェースIC「GVIF(Gigabit Video Interface)」をアピールした。スマートフォンのフルHD化が車載情報機器にも波及するとして、伝送速度の高速化と伝送距離の拡大に対応しやすい光ケーブルを使ったデモを行った。
ソニーは、「オートモーティブ ワールド2013」(2013年1月16〜18日、東京ビッグサイト)において、自動車内部で映像や音声のデータを送受信するのに用いる高速インタフェースIC「GVIF(Gigabit Video Interface)」の提案展示を行った。ソニーの半導体部門が、単独で展示会に出展するのは極めて珍しい。
GVIFは、ノートPCの液晶ディスプレイとパソコン本体の間で、1対のツイストペアケーブルを使って映像信号と制御信号を伝送する技術として、1996年に発表された。2002年から、国内メーカーの自動車に搭載されている純正カーナビゲーションシステム向けを中心に採用されている(関連記事)。
2012年には、720pのHD(高品位)映像データ(60フレーム/秒)と音声データを無圧縮で10mという長距離を伝送できるとともに、HDCP(High-Bandwidth Digital Content Protection)によるコンテンツ保護機能にも対応したトランシーバチップセット「CXD4905GG/4906GG」の量産を開始している。伝送速度は最高で2.5Gビット/秒(Gbps)である。
ソニーは2015年ごろをめどに、1080pのフルHD映像データ(60フレーム/秒)の無圧縮伝送に対応したGVIFのインタフェースICを開発中である。「カーナビゲーションシステムなど車載情報機器の高解像化は720pで十分だとみられていたが、フルHD映像を表示できる液晶ディスプレイを搭載するスマートフォンの登場によって、車載情報機器にも搭載したいという需要が生まれつつある」(ソニー)という。
ただし、1080pのフルHD映像データを無圧縮で伝送するためには、4Gbps以上の伝送速度が必要になる。ソニーは、従来の銅線を使った電気配線では、このような高い伝送速度と車載用途で求められる10mの長距離伝送を実現するのは難しいと見ており、光ケーブルの採用を検討している。
今回の展示では、伝送距離が100mの場合でも、光ケーブルとGVIFのインタフェースICを用いれば問題なくHD映像を伝送できることを示した。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.