ダイムラートラック、三菱ふそうトラック・バス、日野自動車、トヨタ自動車の4社は三菱ふそうと日野の統合に向けて最終契約を締結した。これにより、三菱ふそうと日野を100%子会社とする持株会社を新設する。新会社は東京に本社を置き、2026年4月から事業を開始する予定だ。
ダイムラートラック、三菱ふそうトラック・バス、日野自動車、トヨタ自動車の4社は2025年6月10日、三菱ふそうと日野の統合に向けて最終契約を締結したと発表した。これにより、三菱ふそうと日野を100%子会社とする持株会社を新設する。新会社は東京に本社を置き、2026年4月から事業を開始する予定だ。
ダイムラートラックとトヨタは、新設する持株会社の株式を25%ずつ保有する。議決権比率についてはトヨタが19.9%、ダイムラートラックが26.7%となる。小型トラックではトヨタブランドで27%のシェアを持っていることもあり、適正な競争環境を守っていく上で議決権比率を19.9%にとどめた。
また、持株会社は東京証券取引所プライム市場への上場を目指す。持株会社の代表は三菱ふそうの代表取締役社長であるカール・デッペン氏が務める。三菱ふそうと日野の経営統合に向けて、4社は2023年5月に基本合意書を締結し当初は2024年中に統合完了を目指していたが、競争法や許認可の取得、日野の認証不正問題への対応のため延期されていた。
三菱ふそうと日野は対等な立場で統合し、商用車の開発や調達、生産で協力する。水素を含むCASE(コネクテッド、自動化、シェアリング、電動化)分野の技術開発を通じてグローバルに商用車ビジネスを強化する。
経営統合による財務的なシナジー効果の創出について具体的な数値は明言されなかったが、将来の投資効率に大きなメリットがあるとしている。三菱ふそうと日野の間での車種の統合の可能性についても、現時点では公正取引委員会などの認可を得る前であるとして具体的な回答はなかった。
EV(電気自動車)バスについても、日本では手掛けている企業が限られるため、当局の懸念も踏まえてさまざまな協力関係の在り方を検討するとしている。
三菱ふそうのデッペン氏は「2年前に基本合意書に署名して以来、自動車業界の厳しさが増した。日本ではいわゆる2024年問題によるドライバー不足が、海外では新興企業との競争がこれまで以上に激化している。CASEへの投資を加速させる必要があり、スケールが重要だ。日本市場にこれほど多くの商用車メーカーが存在し続けることは現実的ではない」と統合の意義を改めて語った。
ダイムラートラック CEOのカリン・ラドストロム氏は「トラックメーカーはディーゼルエンジンに加えて、EVや燃料電池、そして潜在的には水素エンジンを同時に開発しなければならない。同時並行的な作業を経済的に行うにはスケールが必要だ。ダイムラートラック傘下のブランドのほとんどは大型車が強みで、グループ内で三菱ふそうがスケールメリットを得る可能性が限られていた。日野と協力することでスケールメリットを得る可能性は非常に大きくなる」と述べた。
ダイムラートラックとトヨタは技術面で新会社をバックアップしていく。トヨタ自動車 代表取締役社長の佐藤恒治氏は、大型商用車のカーボンニュートラル化において、輸送効率などの課題に対して水素モビリティが大きな役割を持っていると期待を語った。
既に、乗用車を中心に燃料電池の技術を磨いてきたトヨタと、大型車を得意とするダイムラートラックで、セルの研究開発や実際の用途への対応などで協力するプロジェクトが動き出しているという。商用車向けの水素モビリティの社会実装と普及に向けて、「踏み込んだ連携の在り方」(佐藤氏)も含めてさまざまな可能性を追求するとしている。
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