ダイムラートラックのラドストロム氏は、水素が「鶏が先か、卵が先か」の状態にあることに言及し、「水素の需要側としては供給が足りない、供給側としては需要がないという状況にある。まずは車両とユーザーの使用の観点からテクノロジーを成熟させなければならない。今後は、さまざまな業界や企業と手を携えてボトルネックの解消の道を探る必要がある」と協力の重要性を説明した。
また、商用車の脱炭素化についてラドストロム氏は「エネルギー企業やインフラ企業、当局も全て巻き込んで標準化を進める必要がある。多方面での議論が必要だが、他社の参加に門戸を広く開いている。日本にはベースとなるものがすでにたくさんある。今後はそれを踏襲して拡大することができるのではないか」とコメントした。
トヨタの佐藤氏も「自動車メーカーと水素ステーション事業者、トラック事業者の三位一体での取り組みが不可欠だ。水素の使う量を増やすような環境づくりに取り組むべきだ。水素ステーションのオペレーションにかかる費用が水素の価格に上乗せされているが、三位一体で取り組む中でオペレーションを見直して管理コストを下げていきたい」と述べた。
この発表と同日、日野は羽村工場(東京都羽村市)をトヨタに移管することを決めたと発表した。日野の100%子会社として受け皿会社を設立し、羽村工場を承継させた上で、受け皿会社の株式を全てトヨタに譲渡する。商用車におけるトヨタとの最適な役割分担を検討する中で羽村工場の移管を決めた。
羽村工場では、トヨタブランドの「ランドクルーザー250」や「ダイナ(日野ブランドではデュトロ)」などを生産している。「トヨタグループの工場となることが将来にわたってユーザーや社会に貢献できると判断した」(日野自動車 代表取締役社長の小木曽聡氏)。
トヨタの佐藤氏は、「一番反省しなければいけないのは、われわれは乗用車メーカーであって、親会社として商用車の領域をリードできる関係性ではなかったという点だ。互いの強みを生かせる関係に発展させていきたい」と改めて説明した。三菱ふそうと日野の経営統合で商用車をリードできる体制を構築し、要素技術をサポートする形でトヨタは日野に関わっていくとしている。
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