三菱電機は、600m先の人や障害物を検知できる鉄道向け長距離LiDARを開発した。同社によれば「業界初」。鉄道の自動運転技術向上や沿線の安全確認作業の効率化に寄与する。
三菱電機は2025年11月20日、600m先の人や障害物を検知できる鉄道向け長距離LiDAR(Light Detection and Ranging、ライダー)を開発したと発表した。同社によれば、「業界初」となる技術。鉄道の自動運転技術向上や沿線の安全確認作業の効率化に寄与する。
ガルバノスキャナーを使い、レーザー光の水平/垂直方向の視野角を小さくすることで点群を高密度化し、遠い場所にも高い精度で検知が可能なLiDARを開発した。この技術により、鉄道車両走行時に前方監視をする場合、鉄道車両の運転席にLiDARを搭載することで600m先の人を検知できる。
鉄道沿線の安全確認用として沿線に定点設置した場合、600m先にある20cm前後の小さな落下物の検知が可能だ。加えて、付属のLiDAR制御装置に取り付けられた物体検出AI(人工知能)を活用することで、点群データだけでは把握しにくい障害物の種類を素早く、高精度で識別できる。
近年、労働者数の減少により、物流トラックや鉄道など交通機関の運転手不足が課題となっている。そのため、安心/安全な自動運転に関する技術開発が進んでおり、高精度に遠方の物体を検知できるLiDARは、自動運転への活用が検討されている。
LiDARは、1秒間に数万〜数百万回のレーザー光を照射し、それが反射して戻ってくるまでの時間や反射光の強さから、点群データで対象物までの距離と形を計測する技術。距離が遠くなるほど得られる点群の密度が低くなり、検知の精度が下がるため、自動車と比べて重く、最大制動距離が600mと長い鉄道車両への導入は難しかった。
三菱電機“兄弟?”で切磋琢磨、記録向上
三菱電機は“現場の負担減らす”FAデジタルソリューション、ラダー生成AIも披露
“縦割り組織”にメスを、三菱電機が「インナーソース」活用で開発リードタイム半減へ
環境に優しい乗り物は製造から脱炭素に、三菱重工のアプローチ
事業本部の垣根を超えたデータ流通を 新規ビジネスを支える三菱電機の基盤
三菱電機、デジタル基盤「Serendie」で鉄道のエネルギー最適化を支援Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
モビリティの記事ランキング
コーナーリンク
よく読まれている編集記者コラム