三菱電機は「IIFES 2025」において、SaaS型FAデジタルソリューションや開発中のラダーコード生成AI、最新制御機器などを訴求した。
三菱電機は「IIFES 2025」(2025年11月19〜21日、東京ビッグサイト)において、水冷式GPUユニット製造デモを中心に、同社が2026年に展開するSaaS型FAデジタルソリューションや開発中の生成AI技術、最新制御機器などを訴求した。
メインデモ機では、生成AIの利用拡大で高まるデータサーバ需要を背景に、水冷式GPUユニット製造工程を模したシステムを展示。基板の組み立てから、CPUチップや液冷ユニットの組み付け、AI(人工知能)を活用した外観検査を一連の流れで披露した。3Dシミュレーター「MELSOFT Gemini」とロジックシミュレーター「MELSOFT Mirror」によってデジタルツイン環境が構築されており、デモ機の稼働状況はSCADAソフトウェア「GENESIS」によってリアルタイムに可視化されている。
デモ機全体を制御するのは、高性能CPUでシーケンス/モーション/ネットワークの機能を統合した「MELSEC MXコントローラ」だ。その他にも、高精細画面でOPC UAサーバ内蔵の表示器「GOT3000シリーズ」や小型インバーター「FREQROL-D800」などの最新製品が盛り込まれている。
三菱電機 インダストリー・モビリティBA戦略室 技術ユニット チーフエキスパートの吉田雅彦氏は「2025年は非常に多くの新製品がリリースされた、非常に“豊作”の年だった。われわれがやろうとしていることが全て凝縮されているデモ機となっている」と評する。
また、2026年春に展開予定のSaaS型のFAデジタルソリューションとして「工程管理ソリューション」「設備保全・予備品管理ソリューション」「保守サポート構築ソリューション」「生産設備の設計支援ソリューション」(生産設備の設計支援のみ2026年度中のリリース予定)を紹介した。工程管理ソリューションは既に一部ユーザーに先行提供しており、シーケンサー(PLC)とつなげるだけでデータを収集してクラウドに共有するエッジデバイスと、データを見える化してさまざまな分析や改善に活用できるようにするWebアプリケーションで構成されている。
「われわれはコンポーネントメーカーとして機器の性能向上に力を入れてきたが、現場にはわれわれの機器を使った設備を設計する人、その設備を使って製造する人、さらに設備の保守をする人たちがいる。そうやって作業している人たちの業務負担を何とか減らせないかという視点で開発したのがSaaS型のFAデジタルソリューションとなる。これらのデータを連携させ、すり合わせることで無駄な作業の削減などにもつなげられる」(吉田氏)
クラウドAIサービスとして、ラダーコードの自動生成AIも参考出展した。近年は人手不足に加え、熟練技術者の引退も相次ぎ、ラダーコードでPLCの制御プログラムを作れる人材が減少している。開発中の生成AIでは、作業者が用意した仕様書を入力すると、それに沿ったプログラムやフローチャート、さらに説明文も生成。また、自然言語の指示による制御プログラムの生成に加えて、過去の制御プログラムの中から生成AIでキーワードを絞りながら必要な制御プログラムを選定したり、既存の制御プログラムと修正内容を与えて新しい制御プログラムなどを生成したりすることも可能になるという。
「30年前、40年前に作られたユーザーのプログラム資産をどのように守ればいいのか、という視点で取り組んでいる。どんなサービスがユーザーのプログラム資産を継承させるために重要なのか、展示会を通してユーザーとコミュニケーションしながら開発を進めていきたい」(吉田氏)
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