三菱電機は2025年1月にインバータの最新モデルとして「FR-D800シリーズ」を発売し、多様化する生産現場のニーズに応えようとしている。
インバータは洗濯機や空調設備、さらには工作機械まで、日常のさまざまな場所で使われている。その中で、国内において三菱電機はインバータで高いシェアを誇る。2025年1月には最新モデルとして「FR-D800シリーズ」を発売。多様化する生産現場のニーズに応えようとしている。
インバータは周波数や電圧をコントロールすることで、モーターの回転数を自由に制御できる装置だ。洗濯機やエスカレーターをはじめ、製造現場にあるコンベヤーやポンプ、垂直搬送装置、工作機械の主軸やテーブル送り装置など、モーターが使われるあらゆるシーンで利用されている。
三菱電機は1981年に汎用インバータの第1世代を発売。その後、改良を重ね、最も新しい800シリーズは第6世代に当たる。その中でも、FR-D800シリーズは小型で立ち上げが簡単であることを特徴としている。
特に、立ち上げ作業の効率アップに焦点を当てている。表面カバーを従来のねじを使った脱着式ではなく、扉式にした。これによって表面カバーのねじ締め作業や、表面カバーと本体との組み合わせミスを防止する。くし形の配線カバーは一部容量で本体と一体化しており、表面カバーと同様に取り付けや取り外しの際の作業を軽減する。
USB Type-Cコネクターに対応しており、主回路の電源が入っていない状態でも、PCからの電源供給でパラメータ設定が可能になっている。「これまでは200Vや400Vの電源を入れないとパラメーター設定ができなかったが、USBケーブルとPCがあれば立ち上げができるようになった。現場でも、装置の電源を入れなくても、PCとUSBケーブルでパラメーターの吸い出しができる」(三菱電機 名古屋製作所 インバータシステム部 インバータ基本発課 第二課長の丸本祥太郎氏。肩書は取材時、現在は同部 インバータ標準開発課 課長)。
本体に二次元コードが付いており、タブレット端末やスマートフォンを使って、立ち上げを支援するWebサイトにアクセスし、現場でインバータの接続方法や使い方などを見ることができる。
誘導モーターだけでなく、PMモーター(磁石モーター)の同期モーター制御にも対応しており、他社製PMモーターでもオートチューニングで駆動可能だ。インバータとモーターの一括更新が不要となり、段階的な置き換えができるようになった。
「今後、脱炭素や省エネの要求が一層高まり、PMモーターなどのより高効率なモータのニーズが出てきた際、ドライブもインバータも一緒に変えなければいけないということが起きないように、FR-D800シリーズでは複数の種類のモーターを回せるようにした」(丸本氏)
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