山善が協働ロボットテストラボを従来比3倍に拡充移転、受注数40%増を目指す協働ロボット(1/3 ページ)

山善のトータル・ファクトリー・ソリューション支社は新たに開設した協働ロボットのテスト施設「協働ロボットテストラボ」を報道陣に公開した。

» 2024年08月23日 08時00分 公開
[長沢正博MONOist]

 山善のトータル・ファクトリー・ソリューション支社(以下、TFS支社)は2024年8月21日、新たに開設した協働ロボットのテスト施設「協働ロボットテストラボ」(大阪市淀川区)を報道陣に公開した。

工場の問題点を全て解決するワンストップソリューションへ

 TFS支社は工作機械や切削工具、ロボットなどの生産財と住宅設備や家庭機器などの消費財を扱う山善にあって、2021年にそれまであったスマート・ファクトリー・ソリューション(SFS)支社と、FAE(Factory Automation and Engineering)支社を統合して新設された組織だ。生産財関連事業の機械事業部、産業ソリューション事業部、ツール&エンジニアリング事業部、消費財関連事業の住建事業部それぞれの一部の製品を扱っており、注力しているのが工場の自動化、省人化の提案だ。

 TFS支社には金属加工機と周辺機器をつなぐラインの自動化を提案するMP課、工作機械や装置に搭載する機械要素部品、部材を提案するME課、製造や物流現場の自動化、省人化を立案するFA課、工場の建築計画から施工までを担う建設・設備課、そして大型案件の営業支援と協働ロボットやAMR(自律型走行ロボット)などの拡販サポートを行う技術サポート部がある。

 山善 トータル・ファクトリー・ソリューション支社 技術サポート部長の植島代志和氏は「それぞれの工場の問題点について、山善に一言言えば全て解決するというワンストップソリューションを目指して、トータル・ファクトリー・ソリューションという名前になっている。セールス、技術、製造が一体になった組織であり、企業横断型のソリューションとして展開していく」と語る。

山善 トータル・ファクトリー・ソリューション支社の植島氏[クリックで拡大]

 技術サポート部には工務管理室と技術室があり、技術室にはロボットアプリケーションの開発などを行うロボティクスチームと、他社の生産技術出身者が所属し、生産ラインのコンサルティングや自動化案件のサポートを行う営業支援チームが存在する。TFS支社と山善FA・SIer会に加盟する企業やグループ会社の東邦工業、石原技研、大垣機工が一体となって、ワンストップソリューションの提供を目指している。今期のTFS支社の自動化案件の受注目標は前期比35%増の100億円を見込んでいるという。

 少子高齢化による労働人口の減少で人手不足は各業種で深刻さを増しており、人手をの確保できなかったことが要因となった人手不足倒産も相次いでいる。そこで、製造現場での活用が期待されているのが協働ロボットだ。リスクアセスメントを適切に行うことで、安全柵を設けずに稼働でき、狭い現場でも省スペースで導入できる。移設も容易だ。

 植島氏は「ただ、協働ロボットを導入する際には事前検証を行わなければならない。特に海外製の協働ロボットはテストや打ち合わせをユーザーと一緒になって行う施設が不足している。そのため、“ともかく買ってみよう”という形でスタートするケースも多い、その課題を解決するために、協働ロボットを単に展示するようなショールームではなく、導入する価値があるのかをしっかりトライアルする施設として協働ロボットテストラボを開設した」と話す。

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