三菱ふそうトラック・バス、CONNEXX SYSTEMS、True 2 Materialsは、車両の使用済みバッテリーの処理体制「バッテリーライフサイクルマネジメント/サーキュラーエコノミー」の取り組みについて説明した。
三菱ふそうトラック・バス(以下、三菱ふそう)、CONNEXX SYSTEMS、True 2 Materials(以下、T2M)は2025年11月25日、本社/川崎製作所(川崎市中原区)で記者会見を開き、車両の使用済みバッテリーの処理体制「バッテリーライフサイクルマネジメント/サーキュラーエコノミー」の取り組みについて説明した。
三菱ふそうはEV(電気自動車)トラック「eCanter」の導入に際して、パッケージサービスとして「FUSO eモビリティ ソリューションズ」を開始した。これまでにも、EV車両と必要な充電設備/メンテナンスサービスの料金支払いをセットにしたファイナンシャルサービスや充電器設置のサポートなど、さまざまな支援に取り組んで来た。
同社は、2022年にeCanterにおけるバッテリーライフサイクルマネジメントを開始し、バッテリーのリユースやリサイクルのための技術開発に取り組んでいる。三菱ふそう モビリティ・トランスフォーメーション本部 ゼロミッションビークル・システム部 部長のジモン・シュミット氏は「これはわれわれのソリューションの中でも極めて重要である」と強調する。
バッテリーライフサイクルマネジメントの全体的な流れとして、まず初めに研究開発段階の車両に適切なバッテリーを選択する。その後、顧客に車両を納入する際には、充電状態やバッテリーの健康状態を監視/管理するデジタルソリューションを提供。最終的にトラックの動力源として寿命を全うした使用済みバッテリーが三菱ふそうに戻る。
使用済みバッテリーは、シンガポールのスタートアップでパートナー企業のT2Mが、資源を回収する。同社が開発した技術を用いて、有害物資を使用せずに正負極材などの資源を直接回収し、再びバッテリー材料に使用するという循環型環境の構築に取り組んでいる。「実際に川崎製作所内にはパイロット施設を設置してさまざまな実証を進めている」(シュミット氏)。
従来は、EVで使用したバッテリーは容量が70%程度まで劣化するとリサイクルに回して、焼却/粉砕した後にバッテリーメーカーに渡していた。そんな中、京都に拠点を置くエネルギーソリューションのベンチャー企業CONNEXX SYSTEMSは、使用済みEVバッテリーを活用した新しい“バッテリーサークルオブライフ”を作ろうとしている。
同社では、EVでのバッテリー使用、その後リサイクルというプロセスの間に“セカンドライフ”として使用済みバッテリーを定置型の蓄電システムに再利用する仕組みを提案している。これにより、バッテリーを約10年長く活用でき、より持続的なリサイクルシステムを構築できる。
中古バッテリーを使用する場合は、どんな電池が入ってくるか不明であり、性能や品質に大きなバラつきがあるといった課題がある。また、EVと蓄電システムに要求される電圧がそれぞれ異なるという課題も存在している。これらの問題に対してCONNEXX SYSTEMSは独自の特許技術で対応している。
CONNEXX SYSTEMS 代表取締役社長の塚本壽氏は「われわれの特許技術を活用することで、使用済みバッテリーを一切改造することなく、そのまま直列で接続して高電圧化できる」と述べる。
同社は独自の特許技術を用いて新たな蓄電システム「EnePOND(エネポンド)」を開発した。EnePONDは、電力系統からゆっくりと電力を溜めていく蓄電システムだが、EVへの充電のように高出力での電力供給に対応している。これにより、系統電力から高出力の電力供給が得られない場所でもeCanterのような大容量バッテリーを搭載するEVトラックへの急速充電が可能になる。同システムについては川崎製作所内に設置している。
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