マレリホールディングスが破産法を申請、企業活動には「影響なし」製造マネジメントニュース

マレリホールディングスとその一部子会社は米国デラウェア州連邦倒産裁判所に米連邦破産法11条(チャプター11)に基づく再建手続きの申請を開始した。

» 2025年06月12日 07時15分 公開
[齊藤由希MONOist]

 マレリホールディングスとその一部子会社は2025年6月11日、米国デラウェア州連邦倒産裁判所に米連邦破産法11条(チャプター11)に基づく再建手続きの申請を開始したと発表した。事業継続を目的とした申請(First Day Motion)を複数提出しており、手続き中は生産や販売などの企業活動に影響はないとしている。

 現在、80%の債権者が再構築支援契約(Restructuring Support Agreement)に署名しており、11億ドルのDIPファイナンス(債務者保有融資)に同意を得ている。裁判所の承認が得られれば、DIPファイナンスと事業の継続から得られるキャッシュフローで十分な流動性が確保できると見込んでいる。

 マレリホールディングス 社長兼CEOのディビット・スランプ(David Slump)氏は、「直近の業績と収益性は、財務基盤強化の対策で一定の成果を上げたが、業界全体の市場圧力により運転資金に一時的なギャップが生じた。選択肢を慎重に検討した結果、債務を株式に振り替えることがマレリのバランスシートを強化しつつ事業を継続する最善の道であると判断した」とコメントした。

 First Day Motionには、従業員への給与の支払い、顧客関係の維持に不可欠なプログラム継続のための支払いも含まれているという。チャプター11申請前に発生した債務はステークホルダーと協議の上支払い条件の合意形成に努める。チャプター11申請後も、主要なステークホルダーに対する支払いなどの義務は引き続き履行する予定だとしている。

2022年夏から簡易再生手続き

 旧カルソニックカンセイと旧マニエッティマレリが統合されて2019年5月に発足したのがマレリホールディングスだ(サプライヤーとしてビジネスを展開するのはその傘下のマレリ)。従業員数は4万5000人。グローバルで150以上の拠点を持つ。2022年2月には経営再建に向けた私的整理である事業再生ADRを申請。事業再生ADRでは全ての債権者の同意を得られず、2022年夏に簡易再生手続に移行して経営再建に取り組んできた。

 しかし、東京商工リサーチによれば、マレリホールディングスは2024年末に始まった借入金の返済で猶予を受けるなど資金繰りが安定しておらず、簡易再生手続き後も6500億円の債務が残った。2025年5月末にはインドのマザーサン・グループによる買収提案も受けていた。

 マレリとして発表された直近の業績は、2023年の売上高が1841億円(前年比320億円増)、営業損益が15億円の黒字(前年は88億円の赤字)、経常損益は309億円の赤字(前年は83億円の赤字)、当期純損益が546億円の赤字(前年は205億円の赤字)だった。

 旧カルソニックカンセイの親会社だった日産自動車は2024年度の、旧マニエッティマレリの親会社だった当時のフィアットクライスラー(現ステランティス)は2024年の新車販売が振るわず、生産台数が減少している。

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