大手サプライヤの買収が相次いでいる。2016年11月22日、日産自動車はコールバーグ クラビス ロバーツ(KKR)に対し、カルソニックカンセイの株式41%を売却すると発表。また、同じ日にヴァレオは市光工業の株式の公開買い付けを開始、完全子会社化することを公表した。
大手サプライヤの買収が相次いでいる。2016年11月22日、日産自動車はコールバーグ クラビス ロバーツ(KKR)に対し、カルソニックカンセイの株式41%を売却すると発表。また、同じ日にヴァレオは市光工業の株式の公開買い付けを開始、完全子会社化することを公表した。
カルソニックカンセイは、日産自動車やルノー、いすゞ自動車、ダイムラー、ゼネラルモーターズを主な取引先としている。カーエアコンや熱交換機などサーマル製品、排気系部品、内装部品、ヒューマンマシンインタフェース向けの電子部品を手掛けている。2016年3月期決算は、売上高1兆533億円、営業利益382億円だった。
日産自動車はカルソニックカンセイの筆頭株主で、カルソニックカンセイの株式の41%を保有している。KKR傘下の投資ファンドが保有する特別目的会社であるCKホールディングスが、カルソニックカンセイの全ての既存株式に対し、株式公開買い付けを実施する。カルソニックカンセイの発行済み株式の時価総額は4983億円と試算されている。
日産自動車 CCO(チーフ コンペティティブ オフィサー)の山内康裕氏は「今回の買収に関する合意は、カルソニックカンセイのさらなる競争力強化を願うわれわれの意向と、カルソニックカンセイに対するKKRの評価が一致した結果。カルソニックカンセイとその株主にとって最良の選択だ」とコメントしている。
総合資産運用会社であるKKRは、2010年より日本企業への投資を行っている。これまで、人材サービス企業のインテリジェンス、パナソニックが事業分離したヘルスケア事業を行うパナソニック ヘルスケア、パイオニアが事業分離したDJ機器事業を行うパイオニアDJを買収している。
ヴァレオは市光工業の株式31.58%を保有しており、公開買い付けによって出資比率を最低でも50.09%まで引き上げる。ヴァレオと市光工業は、販売拡大や生産拠点の最適化、開発分野でのシナジー、共同購買などの成果を見込んでいる。
ヴァレオは2000年に市光工業に資本参加した。照明の分野で協力関係を築き、日系自動車メーカーとの取引を拡大してきた。また、ヴァレオは、2014年にもランプメーカーのオスラムとの合弁会社の全株式を取得するなど、車両照明システムの製品ラインアップを拡充している。
市光工業の2016年3月期決算は、売上高1021億円、営業利益が24億円。営業利益率は2.3%で、ヴァレオの利益率を下回る。市光工業の子会社化はヴァレオグループ全体ではマイナスに働くが、照明関連事業の統合により利益を向上し、市光工業の業績改善が見込めるとしている。
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