2016年6月から日本国内で“ミラーレス車”の公道走行が解禁になる。車両外部に装着したカメラで後方/後側方の間接視界を確保する代わりに、サイドミラーをなくすことが認められる。カメラに置き換われば、空気抵抗の低減やミラー分の軽量化を図ることができる。夜間の視認性向上や、運転支援など安全面の進化も見込まれる。
2016年6月から日本国内で“ミラーレス車”の公道走行が解禁になる。車両外部に装着したカメラで後方/後側方の間接視界を確保する代わりに、サイドミラーをなくすことが認められる。カメラの性能や強度、撮影する範囲は国連が基準を定めており、これに沿って日本でも道路運送車両の保安基準を改正する。サイドミラーがカメラに置き換われば、空気抵抗の低減やミラー分の軽量化を図ることができる。また、夜間の視認性向上や、画像認識技術と組み合わせた運転支援など安全面の進化も見込まれる。
死角を低減するため、既に多くの量産モデルでカメラが活用されている。車両の前後左右に装着したカメラの映像を合成して車両の周囲を俯瞰することができるサラウンドビューや、駐車時に後方を確認するためのバックモニターは、軽自動車にも採用された。
また、日産自動車はルームミラーを鏡とディスプレイの両方として使えるようにし、車両後方のカメラの映像も表示できるようにした「スマート・ルームミラー」をミニバンやSUVに搭載している。
サラウンドビューやバックモニターの場合、自動車メーカーはカメラに依存せずに直接、安全確認を行いながら運転するよう呼びかけている。これまで、カメラはミラーと目視を補助する役割でしかなかったが、今後は間接視界を確保する部品としてカメラとミラーが同等の立場になっていく。
「人とくるまのテクノロジー展2016」(2016年5月25〜27日、パシフィコ横浜)でもミラーレス車をにらんだ出展が見られた。
市光工業は、従来のミラーを手掛ける中で運転中の死角への理解を深めてきた強みを生かしてミラーレス化に対応していく。ドライバーが慣れているサイドミラーでの見え方から大きく変えることなく、ミラーよりも死角の少ない間接視界を確保する。
ヴァレオもサイドミラーの代替となるカメラを出展した。車内側のディスプレイに表示するのは画角35度の映像だが、実際に撮影しているのは50度の画角としている。ドライバー向けに表示するよりも広い範囲を撮影することで、カメラ自体を動かさずに表示する範囲の移動やズームをしやすくするという。また、カルソニックカンセイは、ミラーレス車のカメラの表示などを直感的に調整できるHMI(ヒューマンマシンインタフェース)を出展した。
市光工業とヴァレオに共通なのは、画像認識技術を活用して運転支援に活用しようとしている点だ。
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