「AWS Summit Japan 2025」において、ソニー・ホンダモビリティ ネットワークサービス開発部のゼネラルマネジャーである高倉大樹氏と、同シニアマネジャーの鈴木克彦氏が講演し、車両とクラウドをシームレスに連携させる開発について紹介した。
ピザが2枚あれば満足できるような、5〜10人ほどの少人数チームをアマゾン ウェブ サービス(AWS)では「2ピザチーム」と呼ぶ。
AWSでは、システムを小さな構成要素に分解し、疎結合でステートレスなサービスを開発する。重厚長大なアーキテクチャではなく、マイクロサービスによってアーキテクチャを開発することで、スピードと信頼性を両立させる。それぞれのマイクロサービスも独立して進化する。マイクロサービスの開発を担うのが2ピザチームだ。少人数の自律的なチームが開発から運用までを一括して担当し、ユーザーのフィードバックを基に継続的に改善していく。2ピザチームはビジネスへの深い理解や素早い意思決定も求められる。
同じように、ソフトウェアデファインドビークル(SDV)の開発に取り組んでいるのがソニー・ホンダモビリティだ。これまで1つ1つのECU(電子制御ユニット)が担っていたさまざまな車両の機能をマイクロサービスと捉え、それぞれを少人数のチームが担当している。「AWS Summit Japan 2025」(2025年6月25〜26日、幕張メッセ)において、ソニー・ホンダモビリティ ネットワークサービス開発部のゼネラルマネジャーである高倉大樹氏と、同シニアマネジャーの鈴木克彦氏が講演し、車両とクラウドをシームレスに連携させる開発について紹介した。
ソニー・ホンダモビリティはソニーとホンダの折半出資の新会社として2022年に設立された。設立当初はソニーとホンダから集まったメンバーで構成された200人ほどの規模だったが、現在はソニーやホンダ以外の出身者も含めて日米で400人まで人員が拡大している。
2025年1月には「AFEELA(アフィーラ)」ブランド最初のモデルとして「AFEELA 1」を発表した。米国では既に予約販売を開始しており、日本でも2026年にオンライン販売を始める予定だ。AFEELA 1は企画当初からネットワークに接続することを前提に設計されており、クラウドと密接に連携するソフトウェアによって「これまでにない移動体験の実現」を目指している。
AFEELAの車両にはゲートウェイとビークルコントローラーがあり、テレマティクスコントローラー、AD/ADASコントローラー、UXコントローラー、HMIコントローラーと車載イーサネットで接続する。テレマティクスコントローラーを通じてAWS上のサービスと連携する。AWS上には、サービスを継続的に進化させるための開発基盤もある。
AFEELAのコネクテッドサービスは基本的に全てサーバレスで構築されている。プロトタイピングでサーバ常駐型のアーキテクチャとサーバレスの性能を比較した結果、そん色ないことを確認した。また、サービスの運用が容易になるという強みを評価し、サーバレスを選択した。
AWS上に構築されたAFEELAのクラウドには、エンドユーザー向けのフロントエンド、バックエンド、納車後のアフターサービスを支えるバリューチェーン、エンターテインメントサービス、データ分析基盤、AD(自動運転)/ADAS(先進運転支援システム)用のMLOps、車両制御、データ連携機能などで構成されている。
全社共通のデータ基盤も構築し、Snowflakeを採用している。サプライチェーンや販売、カスタマーサービスなどの全てのデータを集約し、分析までできるプラットフォームを作っていく。データドリブンに事業や開発を進めていくため、データの可視化などにも対応していく。
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