横浜生まれの中小企業経営者集団「心技隊」が、何だか元気がない皆に喝(かつ)! トップバッターは、“おかしら”ことミナロの緑川賢司氏。「技は心と共にあり」の言葉の裏に秘めた思いを語った。次回以降、個性あふれる隊員たちが次々とホットなコラムをお届けする。
「全て心技隊が解決しましょう!」――なんてちょっと言い過ぎかもしれません。でも、一度、われわれ心技隊の志を読んでみてください。ヒントは見つかるはず!
「心技隊」とは「技は心と共にあり」を合言葉に、製造業にかかわる中小企業経営者が集う集団だ。技のない心は進化を知れず、心のない技は破滅を招く。「情けは人のためならず」ということわざは本来、「情けは人のためではなく、いずれは巡って自分に返ってくる」という意味だ。心技隊の考える情けとは「心と技」。その心と技を、我がためでなく、他がために使えば、まずは周囲が心豊かになり、いずれわれわれも心豊かになれる。そう確信している。
他者を思いやる心を持ち、自らの業務技術向上を積極的に行う企業・組織・個人が集い、これからの社会にとって必要とされる生産活動を隊員が柔軟かつ大胆に行うことができるように情報を発信し、これをサポートする。
技術のある人でも、工場でも、心が伴わなければ、いずれ周囲から取り残されるときがくる。実際にそんな企業を数多く見てきたわれわれは、その経験を反面教師とし、「お金より先に、心でつながること」が大事だと確信した。
日本経済の存続には産業の維持、発展が欠かせない。しかし発展どころか維持さえもままならない企業が多い。それは金銭的問題だったり、跡継ぎ問題だったりする。
経済成長期に頑張ってきた町工場のオヤジさんたちは、口をそろえて言う。「自分の子どもには、自社を継がせたくない」と。それは、とても悲しいことではないのか。原材料から付加価値を産み出せる製造業が経済をけん引しなければ、国としても存続できなくなるだろう。
われわれのような小さな企業でも、連携を組めばできることがある。例えば展示会への共同出展、「レッドブル・ボックスカートレース」への参戦、「チーム無駄遣い10%」「モノづくり流行語大賞」、そして「全日本製造業コマ大戦」の企画運営――これらは利益だけを求める企業では決してやらないことだ。
それは一見無益に見えるが、遊び心で作ったモノは人の目を引く。既に業界内でブームとなった全日本製造業コマ大戦は、大会後は連日のようにテレビ番組や新聞などで報道されている。テレビ画面に映るコマを作った職人が、家族で一緒にテレビを観ていて、「おとうちゃん出てる〜! すげ〜!」なんて言われたら、モチベーションも最高潮だ。「明日からまた頑張ろう!」となるだろう。それを見た子どもや学生たちが、職人にあこがれるかもしれない。
そこで! 「まだ技術を持っているなら」「まだ現場を持っているなら」「まだ心が残っているのなら」、製造業に興味を示さなくなった若者に、モノづくりの楽しさを知ってもらう機会を作ろう。現場を開放し、近隣の学生や子どもを招き入れ、展示会などのイベントで体験学習を実施し、技術者予備軍を作ろう。
大手企業のように目先の利益ばかりを追いかけると、肝心なモノを忘れていくだろう。それが今の製造業を取り巻く状況を作った最大の原因ではないのか。大手企業に偉大なるカリスマ経営者がいた時代はもう帰ってこないだろう。これからは中小企業経営者がそれぞれ本気で国の将来を考え、ネットワークを結び国の発展に関わっていく時代だ。
2010年6月に中小企業庁から「中小企業憲章」が宣言されているのもわれわれにとって追い風だ。こちらもぜひ一読してほしい。
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⇒ | 中小企業憲章(PDF) |
心ある者よ、まだ日本を諦められない者たちよ、一緒に立ち上がろう!
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