消費税、引き上げればいいってものじゃないよ心技隊流「未来を創るヒント」

来年、消費税率が8%に引き上げされる。でも、税率を上げる前に、できることがあるのではないのか。心技隊おかしら流の経済論。

» 2013年11月27日 08時00分 公開
[緑川賢司/ミナロ,MONOist]

 ご存じの通り、2014年4月から消費税率が8%に引き上げられる。

 消費税率の引き上げ、有識者17人中15人が賛成――しかし、この“有識者”っていうのは、一体、何の“有識”なのだろうか。

 増税理由は、「社会保障費の財源として消費税を増やさなければならない」。100歩ゆずれば、それも分かる。高齢化が進むのだから、どうにかして財源を作って、黒字化していかなければ、孫の代まで恨まれる。

 しかし、賛成派の有識者は、同時にこんなことを言っている。

  • 「増税の実施が遅れると業界が混乱する」不動産協会
  • 「増税する代わりに自動車所得税や重量税の廃止を求める」日本自動車工業会
  • 「毎年1%の増税は事務処理が煩雑なるから一気に上げてほしい」ある商工会議所

 これは、どう考えても日本の将来を考えていない。いまの自分たちの立場が不利益にならないためだけに言っているでしょ。そもそも増税議論以前に何の努力をしているのか? 有識者とよばれる人たちは。税率を上げなくても、市場を回せば自然に消費税額は増えるのに。

では、市場を回すには?

 市場を回すには、魅力ある商品とサービス、そして将来の安心を作ることだ。

 例えば、心技隊から始まったコマ大戦。町工場である各チームにお願いして、BtoCビジネスとしてレプリカコマの販売を始めてもらった。その結果は1年で約1200万円の売り上げとなった。それ以前はコマの販売なんてゼロ円だったことを考えれば、新たな市場を作り出すことは決して夢物語ではない。

 まだ額は小さいが、既にコマ大戦は日本国内を飛び越え海外での大戦にもなっていることを考えれば、市場は数倍にも数十倍にもなる可能性がある。2013年11月16日に八王子で行われたプレ世界大戦には、アメリカ、ボリビア、中国、フィリピン、ベトナム、韓国、ネパールから参加した。先月(10月)にはインドネシア場所、ボリビア場所も開催した。

 全世界同時多発な浸食だ。この先を考えただけでも、どんなビジネスチャンスが訪れるかワクワクしてくるだろう。

Profile

緑川賢司(みどりかわ けんじ)

1967年横浜産の丙午世代。リストラを機に起業し、産業界的に絶滅危惧種の木型屋を10年間経営。その経験から「この先、日本経済の存続には中小企業しかない」と持論を展開。中小町工場団体「心技隊」の初代隊長を勤める。通称「おかしら」。



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