絶妙な手抜きをするためには、3年じゃ足りない?心技隊流「未来を創るヒント」

2年や3年でクルクルと部署異動させられたら、「絶妙な手抜き」を学べない? 心技隊事務局長 伊藤さんの考える、絶妙な手抜きをするための心構えとは。

» 2013年05月29日 10時00分 公開
[伊藤昌良/エムエスパートナーズ,MONOist]

 「あなたの役割は何ですか?」――仕事に対し真剣に取り組めば、自ずと見えてくるモノがあるのではないだろうか。「自分の立場で担うべき役割」ということも、その1つだろう。どんな職場の、どんな立場にだって、担うべき役割が必ずある。

 新年度に入り、人事異動の時期も過ぎて、新しい部署で頑張っている人も多いことだろう。個人の経験値をアップさせることを目的として、頻繁に部署異動を行うのだろうが、2年や3年でクルクル変わることがある。特に、人数の多い会社では常識的に行われている。推測では、マンネリを防止したり、不公平感をなくすための方策でもあるのだろう。

 ただし、仕事に対する意欲があり、積極的に学ぼうとする姿勢がある人はいいのだが、その逆の人がそのサイクルで何が学べるかといえば、うわべの知識と次の部署へ移動するまでの間、減点されないように下手に手を抜く浅知恵を身に付けるだけ。確かに、単能工よりも多能工が多くいる方がいいのは間違いないけれど、浅はかな多能工ばかり多くいても、それで組織として本当に成長できるのだろうか。

 今の大手企業を見ていると、甚だ疑問である。私は、商社営業という立場で、その時々に「必要な役割が何か」を常に意識している。

  • 最終的に、取引先が喜んでくれるためには
  • 3年後に、取引先の担当が成長してくれているためには
  • この件は、一時的に嫌われようとも、苦言を呈してでも、止めないと
  • このタイミングで切り出せば、相手の社内がもめないだろう
  • 今のタイミングは、バカになるピエロ役が必要
  • この仕事に、本来、商社なんて必要ないかも
  • 仲間が、業界が、地域が、日本が幸せになるには

 などなど、さまざまなことを考えている。

 そして、そのためには何が必要か。以前にも書かせていただいたが仕事は駅伝のように、タスキをつなぐがごとく、目標に向かって、その区間の役割を、それぞれの立場の人が担うものだと思っている。仕事には、大抵期限があり、途中の区間で手を抜けば後の区間の走者が、期限に追われ苦労するものだ。

 ……こんな偉そうなことを言っている私も、“後の区間”に当たる協力会社には、多分、私の能力のなさから多大な迷惑を掛けているのかもしれない。「少しくらいよいかな」と手を抜けるのは、「最低限必要な、自分の役割が何か」を理解している人間だからできることだ。

 極限の中で必死に仕事をした人は、誰しも手を抜くのがうまい。手抜きも、経験が成せる技なのだ。絶妙に手を抜く=コスト削減、下手が手を抜く=コストアップ、同じ手抜きでも、この差は無限大だ!

 やはり、絶妙に手を抜くには、3年程度の経験では成し得ないのではないだろうか。10年くらいの経験があるから、会社に貢献する効果的な手抜きができるのではないかと思う。

 これを読んでいただいている皆さんは、どうだろうか。仕事がスムーズに流れる様な手抜きはできているだろうか。下手な手抜きをして、無駄な経費を使っていないだろうか。新年度が始まって、2カ月弱経過した。この時期だからこそ、「絶妙な手抜き」をするために、今の自分に何が足りないかを見直すいい時期なのではないだろうか。

 さて絶妙な手抜きをするために、私が念頭に置いていることは「心をこめる」こと。ここでも、心技隊が掲げる「技は心と共にあり」の精神が仕事に生かされている。これも以前に書いたが、世界との競争を勝ち抜くだけの能力を日本の産業界は持っている。誰かが手を抜かなければ、もっと速いスピードで無理せず、トップでゴールを目指せるだろう。まだ、そのポテンシャルは持っているはず。

 「世界がマネできない、“日本流 絶妙な手抜き”を、ひとりひとりが磨いて行きましょう!」

心技隊からお知らせ:コマ大戦、世界へのはじめの一歩

2013年5月16日、インドネシアのジャカルタで、インドネシア金型工業会(IMDIA)主催で「全日本製造業コマ大戦」の模擬大会が開催されました。コマ大戦、いよいよ、世界大会へのはじめの一歩です。なお、ジャカルタ大会の本戦も開催される予定です。現在、中小企業の有志たちにより準備中です。現在、支援を募っているとのことです。詳しくは、以下のサイトをご覧ください。

>>全日本製造業コマ大戦 海外展開支援!(JustGiving Japan)



Profile

伊藤 昌良(いとう まさよし)

1970年生まれ。2004年に株式会社エムエスパートナーズを創業。加工部品専門の技術商社として、アルミ押し出し形材をはじめ切削加工部品やダイカスト製品などを取り扱う。「役割を果たす技術商社」を理念に掲げ、組み立てや簡易加工を社内に取り込みながら、協力会社と共に一歩前へ踏み出す営業活動を行っている。異業種グループ「心技隊」事務局長。「全日本製造業コマ大戦」の運営でも事務局を努め、製造業界に必要とされる活動を本業の傍ら日々取り組んでいる。


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