「ふく射」による熱の伝わりCAE解析とExcelを使いながら冷却系設計を自分でやってみる(7)(9/9 ページ)

» 2025年05月12日 11時00分 公開
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 では、式34をゴリコリ計算していきましょう。その前に射度Jを求めます。式29でした。iを1にjを2に表記を変えます。

式60 式60
式61 式61

 式30を変形します。

式62 式62

 今、2面しかなく、n=1として、iを1にjを2に表記を変えます。

式63 式63
式64 式64

 式60式61に、式63式64を代入します。

式65 式65
式66 式66

 J1だけを計算していきましょう。式65式66を代入します。

式67 式67

 右辺にもJ1があり、マトリョーシカのような式になりそうです。どんどん代入しましょう。

式68 式68[クリックで拡大]

 マトリョーシカ構造なので等比級数です。J1は次式となります(式69)。

式69 式69[クリックで拡大]

 J2は、1と2を入れ替えてできます(式70)。

式70 式70[クリックで拡大]

 式34に代入します。つまり、i面からj面への熱の移動量を求めます(式71)。

式71 式71[クリックで拡大]

 A1F12=A2F21を代入します。

式72 式72[クリックで拡大]

 ここでの目的は「式34が本当に熱の移動量なのか?」を確かめることでした。愚直に計算した熱の移動量である式59と、式34を展開した式72は一致しています。つまり、確かに式34は熱の移動量のようです。

 ふく射の話題は今回だけとなります。次回は、温度分布の時間変化を計算します。シミュレーションでいうと過渡伝熱解析や熱伝導時刻歴応答解析となります。フーリエ級数を思い出しておいてください。それにしても、今回は少し疲れました……。 (次回へ続く

参考文献:


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Profile

高橋 良一(たかはし りょういち)
RTデザインラボ 代表

1961年生まれ。技術士(機械部門)、計算力学技術者 上級アナリスト、米MIT Francis Bitter Magnet Laboratory 元研究員。

構造・熱流体系のCAE専門家と機械設計者の両面を持つエンジニア。約40年間、大手電機メーカーにて医用画像診断装置(MRI装置)の電磁振動・騒音の解析、測定、低減設計、二次電池製造ラインの静音化、液晶パネル製造装置の設計、CTスキャナー用X線発生管の設計、超音波溶接機の振動解析と疲労寿命予測、超電導磁石の電磁振動に対する疲労強度評価、メカトロニクス機器の数値シミュレーションの実用化などに従事。現在RTデザインラボにて、受託CAE解析、設計者解析の導入コンサルティングを手掛けている。⇒ RTデザインラボ


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