ふく射に対する理解を深めるために、練習問題に挑戦してみましょう。日本機械学会が主催している「計算力学技術者1級」の試験問題です。図3に示すように、とても近接した非常に広い壁があり、温度と放射率が与えられています。左側の壁の温度が高いときに、左側の壁1から右側の壁2に伝わる熱流束を求めましょう。もちろん真空中での問題です。
壁1の単位面積当たりの熱放射量E1は、式2から次式で表されます(式6)。
上記E1の全てが壁2に到着するとします。図4に示すように、E1は壁2が吸収する熱量(単位面積当たりです)と、反射する熱量に分かれます。
それぞれ以下となります。
壁2で反射する熱量の全てが壁1に到着する場合、それは壁1が吸収する熱量と、反射する熱量に分かれます。それぞれ以下となります。
壁1で反射する熱量の全てが壁2に到着するとします。図4に示すように、それは壁2が吸収する熱量と、反射する熱量に分かれます。それぞれ以下となります。
現時点での壁2が受け取る熱量は式7と式9の和ですが、図4から、壁2が受け取る熱量Q2は式10となります。
式10は、初項ε2E1、項比(1−ε1)(1−ε2)E1の等比級数の和なので、総和は次式となります(式11)。
同じ考え方で、壁1が吸収する熱量は式12となります。
壁1から壁2に伝わる熱流束(単位面積当たりの熱量)は以下となります。
E1、E2は次式でした(式14)。
上式を式13に代入します(式15)。
こんな感じでしょうか。
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