リクルートが「STEM領域における女性エンジニアの転職動向」についての調査結果を発表した。STEM領域への女性エンジニア職の転職者数が、この約10年で約6倍に増えていた。
リクルートは2023年9月26日、「STEM領域における女性エンジニアの転職動向」についての調査結果を発表した。転職支援サービス「リクルートエージェント」のデータを分析したものだ。
同調査の対象者は、転職支援サービス「リクルートエージェント」のサービスや求人データを利用して転職した人(有効回答数は非公開)。なお、STEMはScience、Technology、Engineering、Mathematicsの略だが、同調査では具体的に電気、機械、化学、IT分野を示す。
STEM領域のエンジニア職の求人件数推移は、2009〜2013年度平均を1とすると、この約10年で10.47倍と増加傾向にある。特にSEなどのITエンジニアは11.84倍となっており、全職種の求人件数と比較しても増加幅が大きかった。
STEM領域へのエンジニア職の転職者数推移について、2009〜2013年度平均を1として見ると、2022年度には男性が2.94倍、女性は6.38倍となっており、この約10年で女性のエンジニア職への転職者数が大きく増加している。男性と比べても大きな増加が見られた。
背景には、ダイバーシティー経営が加速したこと、労働市場における構造的な人材不足から企業が新しいターゲットに間口を広げたことなどが挙げられ、女性がより自分に合った企業に転職しやすくなったことがあると考えられる。
続いて、女性エンジニア転職者を職種別に見ると、2009〜2013年度平均を1として、製造業への就業が多い「電気、機械、化学エンジニア」の転職者数が2022年度は7.61倍になっていた。この増加の幅は、全業種(5.41倍)やSTEM領域エンジニア全体(6.38倍)と比較しても大きかった。
STEM領域において化学分野は女性の就学が多い傾向にある。「サステナビリティ」「SDGs」「GX(グリーントランスフォーメーション)」など自然環境への配慮を求める機運がビジネス上でも高まり、化学分野へのニーズが増えていることも背景の1つとして考えられる。
女性エンジニアが転職先として希望している企業の傾向は、企業や業界の将来性、自らが手掛けたい技術、製品があるといった点が挙げられた。
また、女性エンジニアがSTEM領域で働き続けるためのポイントを探った。例えば「電気、機械、化学エンジニア」は「ロールモデルの育成」「リモートワークやフレックス制などの環境をできる範囲からつくっている」「ITエンジニア」では「リモートワークなど働きやすい環境にある」「ライフステージによって常駐の案件を控えるなど柔軟な任用をしている」「エンジニアとしてのプロフェッショナル職など、複線的なキャリアイメージを用意している」といった観点が挙がった。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.