職場での「強さを競う文化」がもたらす影響を調査、「良い影響はない」が過半数キャリアニュース(1/2 ページ)

リクルートマネジメントソリューションズが、職場での「強さを競う文化」に関する調査結果を発表した。仕事最優先、競争に勝つなどの強さはストレスにつながる一方で、状況次第で良い影響をもたらすことが分かった。

» 2025年05月29日 16時00分 公開
[MONOist]

 リクルートマネジメントソリューションズは2025年5月19日、「職場における『強さを競う文化』に関する調査」の結果を発表した。

 同調査は、従業員規模50人以上の企業で働いている20〜59歳までの正社員933人を対象とした。また、Berdahlら(2018)によるMCC(Masculinity Contest Culture:男性性を競う文化)の4つの特徴を参考に、職場での「強さを競う文化」を具体的な状況に落とし込んだ独自の項目を作成し、実態を確認した。

 初めに、職場の「強さを競う文化」の程度を調べた。想定していた4つの特徴である「弱みを見せないこと」「力強さやスタミナがあること」「仕事を最優先すること」「競争に勝つことが望ましいとされること」および、別途探索的に入れた「その他」の構造を確認した。

 その結果、最も多かったのは、「弱みを見せないこと」の中にある「プライベートで困難なことがあっても、職場では平然としていなくてはならない」で、肯定的な回答が67.4%を占めた。内訳は「とてもあてはまる」が7.9%、「あてはまる」が21.8%、「ややあてはまる」が37.7%となった。

 また4つの特徴のうち、「弱みを見せないこと」と「力強さやスタミナがあること」は、過半数が肯定的な回答だった。「仕事を最優先すること」と「競争に勝つことが望ましいとされること」は、ほとんどの項目で肯定的な回答が50%を下回った。

キャプション 職場の「強さを競う文化」の程度[クリックで拡大] 出所:リクルートマネジメントソリューションズ

 次に「強さを競う文化」に対する考えを尋ねた。「否定的態度」の中の「『強さを競う文化』は社員のストレスや精神的負担を増大させる」は71.3%があてはまると回答した。内訳は、「とてもあてはまる」が12.0%、「あてはまる」が22.4%、「ややあてはまる」が36.9%だった。

 「過剰感」にある「自社の『強さを競う文化』は過剰だ」については、「とてもあてはまる」が3.5%、「あてはまる」が13.4%、「ややあてはまる」が27.9%で、44.8%が過剰だと感じていることが分かった。

キャプション 「強さを競う文化」に対する考え[クリックで拡大] 出所:リクルートマネジメントソリューションズ

 また、過剰感があると回答した人に、「強さを競う文化」の4つの特徴のうち、どれを過剰と感じているかを尋ねると、「仕事を最優先すること」(22.1%)が最も多かった。4つの特徴の有無2群で過剰感の平均値の違いを調べると、「仕事を最優先すること」に関しては、選択した人の過剰感は、そうでない人と比べて統計的に有意に高くなっていた。

キャプション 「強さを競う文化」の過剰な構成要素[クリックで拡大] 出所:リクルートマネジメントソリューションズ

 「強さを競う文化」が実際に職場に与える良い影響と悪い影響について、具体的なエピソードを記述してもらったところ、「成長」「モチベーションの向上」「パフォーマンスの向上」といった良い影響に関する記述が見られた。しかし、全体を見ると「良い影響はない」との主旨の記述が過半数を占めた。また、「疲弊感」「公平性の低下」「パフォーマンスの低下」「多様性の低下」といった悪い影響も挙げられていた。

 続いて、「総合職、地域総合職、一般職などの別がある」という項目を選択した人と選択しなかった人の間で、「強さを競う文化」の4つの特徴12項目の平均値と過剰感、周囲の過剰感の認識を比較した。その結果、「総合職、地域総合職、一般職などの別がある」会社で働いている人の方が、いずれも平均値が高く、有意差が見られた。

キャプション 「強さを競う文化」の程度や過剰感の違い[クリックで拡大] 出所:リクルートマネジメントソリューションズ

 また、柔軟な働き方を促す制度がある会社は「強さを競う文化」の程度が低いのではないかという想定の下、柔軟な働き方を促す各制度の有無で2群に分け、「強さを競う文化」の程度および過剰感に関して確認したが、いずれも有意差はなかった。

キャプション 組織制度の有無[クリックで拡大] 出所:リクルートマネジメントソリューションズ
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