インディードリクルートパートナーズが「AIに関わる求人動向」についての調査結果を発表した。2024年のエンジニア系職種のAI関連求人は、2017年度比で約6.6倍に増えていた。
インディードリクルートパートナーズは2025年7月24日、「AIに関わる求人動向」についての調査結果を発表した。
同調査は、転職支援サービス「リクルートエージェント」の求人と転職者のうち、AI(人工知能)に関連するものを分析している(有効回答数は非公開)。
リクルートエージェントにおけるAI関連の求人について、2017年度と比較すると、2024年はエンジニア系職種が約6.6倍、営業、企画、管理部門などの非エンジニア系職種が約2.5倍に増加。転職者もそれぞれ約4.2倍、約2.2倍に伸びている。
次に、業界別の傾向を見ると、2024年のエンジニア系職種のAI関連求人割合が多かったのは、「IT通信業界」(39.3%)、「電気、電子、機械業界メーカー」(16.0%)、「インターネット業界」(14.8%)、「コンサルティング業界」(7.2%)などで、モデル開発やPoC(概念実証)推進を担う部署を中心にニーズが高かった。
営業、企画、管理部門職種のAI関連求人の割合は、「IT通信業界」(38.8%)、「インターネット業界」(24.4%)が多くを占めるものの、「電気、電子、機械業界メーカー」「コンサルティング業界」「人材、教育業界」など幅広い業界が「既存業務にAIをどう組み込むか」という観点から人材を求めている。
転職市場では、自分の経験や専門性を生かしてAIと関わる分野に転職する動きが広がってきている。これまでは、AI人材といえばモデルの開発や実装を担うエンジニア職という見方が中心だったが、日常の業務やサービスにAIを適用するビジネス職の役割も増えている。
また、AI関連求人は仕事内容やスキル、経験に応じて4つのカテゴリーに分類できる。AIを利用したことがある、AIに関心がある「1:関心フェーズ」、AIに関して基礎的な知識があり業務での見通しを持てる「2:知識フェーズ」、AIを活用して業務の運用や改善ができる「3:活用フェーズ」、AIを実装して成果を出し仕組みにできる「4:展開・実装フェーズ」だ。
エンジニア職では、これまでの業務で培ってきたスキルや開発経験が、業界を越えて新たな役割に展開されるケースが増えている。AIの実務経験がなくても、構造理解やモデル構築、制御設計での知見が評価ポイントになっている。
「AI×経験」の事例としては、メーカーでのソフトウェア開発スキルを持つ人がAIスタートアップのプロダクト開発エンジニアに転職(カテゴリー2)、製造業のエンジニアが、装置構成や制御に関するノウハウを生かして、AIで制御する次世代半導体装置の開発企業に転職(カテゴリー4)、などがある。
ビジネス職では、ソフトウェア企業の50代の管理職経験者が、ビジネスでのAI実践を志して、生成AIを活用するスタートアップへの転職を果たした(カテゴリー1)。このように、「AIを使ってみた」「AIを生かせると考えた」という姿勢そのものが転職において評価されるケースも多く見られる。
AIに関わるキャリアを目指す場合、「AIに精通しているかどうか」に加え、「自分のこれまでの経験や業務視点をどう生かすか」が評価されるケースもある。一方で、求職者からは、AIに関してどこまでのスキルが求められるのかを見極めづらいといった声も多い。見極めるための手掛かりとして、自分の経験を棚卸しすることも有効な手段となる。
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