「からくり改善」で躍進、重力と知恵で実現する自動化で年率30%成長:からくり改善(2/2 ページ)
SUSがからくりで伸びている理由が、アルミ素材を提供するだけでなく、からくりの動作の基本形として構築したモジュールを提供していることである。「作業改善をしたい」と思っても、どういう動作をするからくりを構築してよいのか分からない場合などもある。また、一からからくり機構を作り上げる負担なども大きい。SUSは、からくりの基本的な動作である10数パターンをモジュールとして用意しており、それをアルミ素材とともに提供することで、負担を小さく「からくり構築」を実現できるという。
嶋崎氏は「大手の製造業であれば、自社でからくりを作り上げるノウハウなどを備えているが、中堅以下の製造業では一からからくりを構築するのに負担を感じているところも多い。その中で、からくりモジュールを提供するとともに、一部でコンサル的にからくり構築を支援することなども可能だ」と特徴を述べている。
からくりモジュールをさまざまな形で組み合わせたからくり機構(動画)
からくりは基本的には動力は使わないがSUSでは「一部で動力と組み合わせることで最適な作業改善が行えるケースもある」(嶋崎氏)としており、からくりと動力の組み合わせなども展開している。既にSUSがからくり用のシンプルな制御用コントローラーなどを展開している他、無人搬送車(AGV)と組み合わせたからくり機構などを提案する。
AGVとの組み合わせではAGVの動力を生かし、AGVに搭載したかごを自動で設置場所に置く動作と、回収する動作を実現する。
工場内で使うAGVとからくりを組み合わせた自動荷物受け渡しツールのデモ(動画)
嶋崎氏は「製造現場で効率的な作業改善が求められる中、からくりは低コストで実現できる他、現場の手作りであるため、現場の教育なども利用できる。作業員の意識向上などにつながる」と利点について語っている。
- 製造業をカイゼンできるのはIoTだけじゃない、“からくり”がもたらす安全と効率
ロボットを導入するのは難しいが、手作業では効率化や安全性に課題がある……生産ラインのそんな困りごとを解決するのが「からくり」だ。動力に頼らず、ワークの自重やシンプルな動きを利用することで、安全に効率を高められる。知恵と発想がつまったからくりの数々を紹介する。
- 全員参加の生産保全、TPMとは何か?
本連載「いまさら聞けないTPM」では、TPMとは何か、そして実際に成果を得るためにどういうことに取り組めばいいかという点を解説していく。第1回となる今回は、まず「TPMとは何か」について紹介する。
- 一口に「旋盤」といっても、いろいろあるんです!
ファブレスメーカーのママさん設計者が、機械系モノづくりの“生”現場を渡り歩き、ありとあらゆる加工の世界を分かりやすく解説していく連載。今回は、旋盤加工工場の安曇野ヤマダテクニカルを訪問する!
- 工場に残された手作業のロット控え、小さな工夫で作業時間を60分の1に
スマートファクトリーなど工場においてもITを使った自動化が大きな注目を集めているが、現実的には工場内作業には多くの手作業が残されており、それを解決する機器が存在しない場合も多い。工場では日々そうした作業を効率化する小さな改善を積み重ねているわけだが、本稿ではOKIが行った取り組みを紹介する。
- 現場の発想を即決実行! 三菱電機ホーム機器が高級白物家電で連勝する秘密
総合電機メーカーとして存在感を築く三菱電機。重電分野などが強いが、意外にも高級白物家電では“尖った”製品でヒットを連発している。そのモノづくりの現場は“人”を中心とし、自発的な発信が飛び交う自由闊達(かったつ)なものだった。小寺信良が報告する。
- 自動化に遅れたカシオ計算機が描く、現実的な「スマート工場」構想
カシオ計算機は、新興国の人件費高騰や人手不足などが進む状況を踏まえ、生産革新に取り組む。ロボットを活用した自動化を推進するとともに、工場間を結んだスマートファクトリー化にも取り組む。同社 執行役員 生産資材統轄部長の矢澤篤志氏に話を聞いた。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.