ファブレスメーカーのママさん設計者が、機械系モノづくりの“生”現場を渡り歩き、ありとあらゆる加工の世界を分かりやすく解説していく連載。今回は、旋盤加工工場の安曇野ヤマダテクニカルを訪問する!
モノヅクリストの皆さん、こんにちは!
前回の「精密板金試作編」に込められたキーワード、お察しいただけたでしょうか。いみじくも、取材先の企業名に「相互」の文字が含まれていたことで、より伝わりやすかったかな……と思っています。
モノづくりでは、とかく設備のスペックや加工技術に目が向きがちですが、それが注目されるのも、段取りの時点で「整合されたデータの準備」「適切な工程設計」がなされているからこそです。そして、企業におけるモノづくりはいわば“チームプレイ”ですから、常に全員が同じベクトルで「思考」をして、相互的に意見を交わしてコミュニケーションを維持することも必要です。複数の人間が1つの場所に集まってモノづくりを続ける限り、職場環境の良しあしは少なからず仕事の質にも響いてくるもの。それが社内の問題でとどまっている間はまだ良いのですが、製品の質や顧客対応の質といった影響にまで及んでくると、企業間の信頼関係にも響いてきます。チーム間のコミュニケーションでは時として議論があって当たり前ですし、それができる人たちが集まることと、そうできる環境づくりが、“いいモノ”を作る上で大事なのではないかな……と思うのです。
さて。今回は再び切削加工の世界をご案内いたします。第1回のマシニング加工編とは違う、旋盤加工の工場におじゃましてまいりました。場所は長野県安曇野市の、安曇野ヤマダテクニカルです。
多品種小ロットや単品加工を得意とされる安曇野ヤマダテクニカルには、筆者もお世話になっています。シャフト類をはじめ治具の丸物部品を幾つも作っていただいていて、毎回安定した精度と気配りのきいた仕上がりにとても満足しています。にもかかわらず、現場へおじゃまするのはこれが初めてなのです。社員数28人、平均年齢29歳のパワーみなぎる加工現場ではどんな発見があるでしょうか。
北アルプスの麓に位置する長野県安曇野市は、緑豊かで風光明媚(ふうこうめいび)な「田園産業都市」です。その景観に溶け込むような冴えた緑色の自販機が見えたら、安曇野ヤマダテクニカルに到着です。この自動販売機は、同社がスポンサーを務めるJリーグチームの「松本山雅FC」支援仕様なのだそうです。
気付けば、玄関マットも松本山雅FC仕様……(踏み絵のようです)。
それ以外にも、社内のあちらこちらに緑色があしらわれています。これは創業者であり先代社長の山田慶喜氏が昔から緑色が好きだったためで、松本山雅FCのチームカラーとは「偶然の一致」だったとか。
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