さまざまな3D CADがありますが、もちろん特長や操作性はそれぞれ異なります。また機械設計に限定した機能、多岐に渡る用途に対応した機能など機能に特色があります。
フィーチャベースはモデリングの手順を履歴として持ちます。そのため履歴を用いてパーツのモデル形状の変更をそのモデル作成手順に応じて行うことが可能です。
ノンフィーチャベースのものは最終形状のデータしか持ちません。そのため、ノンフィーチャベースはフィーチャベースに比べデータ量が小さいことが特長です。また直観的なモデリングが可能です。フィーチャベースCADの中には、面の伸縮などダイレクトモデリング的な操作ができるものもあります。
こちらはまるでブロックを積んでいくような感覚ですね。アセンブリ上でパーツとなる部品をモデリングした後に、パーツ化を行うようなこともあります。先にパーツをモデリングして拘束を用いてアセンブリする拘束タイプに対して、自由度が高いと感じています。
履歴性と拘束性は同義の部分でもあります。拘束を持たないものは、2D CADの設計に近いと感じる一方で、設計結果のみか残っているので、設計の意図が当事者以外には分かりにくいという問題があるでしょう。
一方、拘束タイプでは、関係式を用いたモデリング手法もありますが、関係式も注意しないと第三者には理解しにくいものになります。それがアセンブリ再構築後のエラーの原因になって手を焼いた経験もあります。
パラメトリックな(寸法・幾何拘束を用いた)部品作成や、それにより構成されるアセンブリの特性をどう生かすのか。自社製品の構成、あるいは設計の考え方をどのように標準化するのか、モジュラ化の手法やバリエーション管理、ライブラリ管理をどうするかという視点で考える必要があります。
また海外から製品図面が送られてくることが多い会社もあるでしょう。欧米で用いられているCAD形式の中には、日本で使われる3D CADが対応していない場合があります。中間形式であるParasolidやIGESへの変換を先方にお願いして取り込むのか、変換せずにダイレクトに取り込めるCADがよいのか検討しなければなりません。もちろん、フォーマット変換ソフトもありますが、投資に見合った活用ができるのかを考える必要があります。
自社でどのCADを採用すればよいのか考えていく際には、「設計者自身がCADを使う」ということを考慮し、自社運用に適した上で、「どのように設計業務の問題点を変えていくのか」「どう全社展開して社内のプロセスを変えていくのか」を考えることが重要です。操作性というオペレーション機能中心で考えて採用することは避けるべきだと考えます。
CADは年々進化し、安定性を増してきています。また、さまざまなCADには一長一短があるはずです。正確に評価して、自社に合った3D CADを選定したいところです。
設計者の加工実習や、CAD操作の知識・スキルも大事だと私は考えています。こちらは技術者教育について触れる回でお話する予定です。
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