機械メーカーで3D CAD運用や公差設計/解析を推進する筆者から見た製造業やメカ設計の現場とは。今回は具体的にデータムとは何により決められているのかを説明する。
前回は、データム(Datum)とは「公差を決めるための、理論的に正確な基準である」という言葉で終わりました。では、具体的にデータムとは何により決められているのでしょうか。次の図に示すような直方体のモデルを一例として配置し、説明を進めることとします。
私が使用している3D CAD「SOLIDWORKS」も「iCAD SX」もその座標軸の向き(X-Y-Z)は同じです。この座標軸から「面」を作成します。
座標軸Xと座標軸Yによって作られる面をXY平面とし、これを「正面」とします。同様に、座標軸X・Zにより作られる平面をXZ平面とし、これを「平面」、座標軸Y・Zにより作られる平面をYZ平面とし、これを「右側面」とします。
このような3平面と平行になるように直方体のパーツを置いてみますが、そのパーツを完全に動かないもの(拘束)するにはどうしたら良いでしょうか?
言い換えてみれば、
「そのように姿勢を決定することができるのか?」
「どのように固定すればこのモデルを実際に作った時に測定ができるか?」
ということが言えます。
パーツをこの平面上に設置することで、「この平面から浮き上がることも沈み込むこともない」と仮定すると、どのような方向に動くことができるでしょうか。パーツの高さ方向は固定されているので、Y軸方向には動くことはできませんが、平面上をスライド(並進)するように動くことや、平面上を回転することができます。
少し、難しい言い方をすれば、
「平面上で少なくとも3点以上の接触によって平面上に設置されている」
「X軸方向とY軸方向、またY軸周りの回転方向の3つの自由度を持っている」
「並進2成分、回転1成分の自由度は3である」
と言うことができます。
更には、
「平面上に置かれているパーツは、平面に沿った移動と回転の自由度を拘束できない」
ということもいえます。
この「拘束」という語句は、3D CADやCAEではおなじみだと思います。
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