enmono三木氏 次は1分の1の試作機ですね。
中村氏 2020年の東京オリンピックの開会式で、プロトタイプを飛ばして聖火台を灯すというのをやりたいです。それで日本の技術を世界にアピールして。
enmono三木氏 5年間開発をし続けるキャッシュをどう稼ぐかが課題ですね。
中村氏 会社の中で提案し続けながら、自分たちのコアとなる技術を確立して、開発した技術を基に受託開発する方向も考えています。大手企業では難しい、小さい規模で早く動けて、社外の方と自由につながることができるところを売りにしていこうと。
enmono三木氏 基本的には、所属されている会社との協力関係を築きながら、ということですね。
中村氏 この空飛ぶ車の事業化は2030年を目標にしていて、量産というところまでにらんだ時に、量産工場を自分達で構えることはできません。大手企業と手を組まないとできないと思っています。
enmono三木氏 中村さんは今、30歳ですから、45歳ですか。それくらいスパンが長いと、事業マネーですよね。
中村氏 そこに向けては、「本当に飛べるのか」とか「ニーズはどういうところにあるのか」など、さまざまな疑問があると思うんですね。そういうのを議論していても推定でしかないので、モノがあることが重要かなと思っています。
enmono三木氏 マーケティングしても、市場がないですから。
中村氏 一番ニーズがあるのはインフラがないところ、例えばアフリカのような道もないところにニーズがあると考えていますし、法規制という意味でもやりやすいと思っています。砂漠地帯など、水を汲みに行くのに時間がかかる地域だとか、洪水が多くて車が水没してしまうような地域で使えるのでは。今、車で高速移動するとか悪路を移動することはできますが、深い砂漠や水の上を走ったりすることはできないですよね。私なりの「次世代に提供する夢」の定義は、「想定しうる能力を超えたもの」。空飛ぶ車が、正にそれができる車なんじゃないかと思っています。
enmono三木氏 その提案は、昨年のビジネスコンテスト「TOKYO STARTUP GATEWAY」で優秀賞を受賞されましたね。
中村氏 早くプロトタイプを作って、実際に使ってみて、どのような使い方があるのかというところの開発を加速していくことが我々の役目です。
enmono三木氏 今後、日本のモノづくりはどうなっていくと思いますか?
中村氏 先ほどお話したことに近いんですけれども、戦後のモノづくりが経済と共に伸びていったことがもう一回あるかというと、既にいろいろなモノがそろっている状態なので、そのレベルまでいくのは難しいかなと思うんです。ただやはり、逆に進み過ぎて動きにくくなっている。規制だとか仕組みだとかいうところで。動きにくくなっているところに関して、「自分たちが動ける」と思った人が早めに動いて、既存のインフラと上手く手を組んで、小さい風穴をたくさん開けていくことが必要なのではないでしょうか。そして、いつの間にか大きい風穴ができていて。そういったコンテンツもしかり、仕組みもしかり、必要だなと感じます。
enmono三木氏 大手メーカーとベンチャーが連携して、みたいな感じですよね。最近は大手メーカーと元社員が立ち上げた企業が連携して、協力体制で一緒にやるようになってきました。元気がいい人をあえて会社の外に出していくことは、日本の活性化にもつながるんじゃないかと思います。本日はありがとうございました。
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