今週はレース以外にもカーボンニュートラルに向けた取り組みが複数発表されました。
マツダは、2035年にグローバルの自社工場でカーボンニュートラル達成を目指すと発表しました。現場の省エネ、カーボンニュートラル電力の調達などによる再生可能エネルギーの導入、社内の輸送で使用する燃料をバイオ燃料にするなど大きく3つの取り組みによってカーボンニュートラルを達成する方針です。
省エネでは、低温で硬化する塗料の開発によって熱エネルギーを削減する他、加工技術の効率化によって、エネルギー変換効率を改善します。再生可能エネルギーの導入では、中国地域のカーボンニュートラル電力推進部会に参加するとしています。工場内の発電のCO2排出削減も含めて、さまざまなアプローチを検討します。
スズキは、インドの四輪工場において、再生可能エネルギー由来の電力の使用を拡大すると発表しました。インドの生産子会社であるスズキ・モーター・グジャラート(グジャラート州)では、同社専用に電力事業者が設置した風力と太陽光のハイブリッド発電設備(発電出力17.6MW)から電力を購入することとなりました。スズキ・モーター・グジャラートでは2018年にも敷地内に発電出力0.5MW分の太陽光発電設備を設置しています。
マルチスズキインディアでは2014年、マネサール工場(ハリアナ州)の敷地内に太陽光発電設備を導入しており、2021年9月には同工場の太陽光発電設備を20MW分拡張して発電出力を26.3MWまで拡大しています。
さらに、マネサール工場では、スズキがやまなしハイドロジェンカンパニーと協力して、余剰電力を活用した水素製造と、工場内での熱運用システム構築の可能性を検討すると発表しました。2023年3月までの実証事業として、NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)の2022年度「エネルギー消費の効率化等に資する我が国技術の国際実証事業(実証要件適合性等調査)」に採択されています。
トヨタ自動車は住宅向けの「おうち給電システム」を発表しました。住宅向けの定置用蓄電池ユニット、DC-DCコンバーター、蓄電池と太陽光パネルの両方に対応したパワーコンディショナー、車両から住宅に給電するアダプターで構成されたシステムです。システムの定格容量は8.7kWh、定格出力は5.5kWとなっており、太陽光発電の売電を重視したり、電力自給率を高めたりと、家庭でのさまざまな電気の使い方に対応します。
クルマ自体を蓄電池として使うのではなく、定置用蓄電池を介するため、クルマが家にないときも住宅に電力を供給することができるのが特徴だとしています。また、災害時はクルマの給電機能を使って定置用蓄電池の容量以上に自宅に電力を供給し続けることもできます。
おうち給電システムには、トヨタが電動車で培った電池の技術や電動化部品が活用されています。また、車両から住宅へ給電するアダプター、蓄電池システムの中に搭載されたインタフェースECU(電子制御ユニット)、スマートフォンやタブレット端末向けのアプリ、蓄電池システムの情報を収集するシステムサーバをデンソーが開発しています。
家庭が日本全体のカーボンニュートラルに貢献できる度合いは決して大きくはないかもしれませんが、夏冬の節電要請の高まりや、災害時の停電のことを踏まえると、家での電気の使い方もあらためて考えておきたいですね。
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