パナソニック エナジーが2022〜2024年度の中期経営戦略を説明。テスラ向けに開発を進めている新型リチウムイオン電池セル「4680」は既に製品化のめどが立っており、2023年度中に和歌山工場で量産を始めて北米市場への供給をスタートさせる方針だ。
パナソニック エナジーは2022年6月1日、パナソニック ホールディングスがオンラインで開催した投資家向け説明会「Panasonic Group IR Day 2022」において、2022〜2024年度の中期経営戦略を説明した。注目を集めるテスラ(Tesla)向けに開発を進めている新型リチウムイオン電池セル「4680」については、既に製品化のめどが立っており、2023年度中に和歌山工場(和歌山県紀の川市)で量産を始めて北米市場への供給をスタートさせる方針だ。また、旺盛なEV(電気自動車)市場における競争力を維持していくために必要な生産能力として、2025年度に2022年度比で約2倍、2028年度に約3〜4倍が必要になるという見通しを示した。
2022年4月のパナソニックグループの事業会社制発足から、パナソニック エナジーとして事業戦略を発表するのは今回が初めてとなる。同社 代表取締役社長の只信一生氏は「1923年に乾電池を発売してから約100年の間、電池のリーディングカンパニーとして、くらしの豊かさや社会の便利さを拡大、けん引してきた。これまで積み重ねてきた技術と市場を創出する力、実績と信頼をこれからも磨いていきながら、新しい技術と製品を継続して開発し続け、今後も時代を切り開いていきたい」と語る。
何かとテスラ向けのリチウムイオン電池に話題が集まりがちなパナソニック エナジーだが、事業領域としてはそのテスラ向けが中心となる車載事業と、産業機器向け蓄電システムなどの二次電池や乾電池などの一次電池から成る産業・民生事業の2つがある。2021年度の業績は売上高が前年度比27%増の7644億円、営業利益が同91%増の642億円、企業の稼ぐ力を示すEBITDAが同38%増の1205億円で、売上高増に大きく貢献したのは車載事業だった一方で、産業・民生事業による利益の底上げ効果も大きかった。実際に、2つの事業領域の売上高とEBITDAに占める割合のイメージを見ると、産業・民生事業の割合は売上高よりもEBITDAの方で大きくなっていることが分かる。
2022年度の業績見通しは、売上高が前年度比10%増の8480億円となる一方で、営業利益が同19%減の520億円、EBITDAが同7%減の1205億円。材料高騰の影響は価格改定と合理化、増販益でカバーするものの、車載事業、産業・民生事業とも将来に向けた設備投資を行うこともあり減益になるという。
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