サーバの購入内容、PDM導入ライセンス数、カスタマイズの有無が決まり、見積書が整い、稟議書が通れば、いよいよ発注となり、導入の具体的な作業が始まります。
ハードウェアについてですが、私の経験では、PDMシステムを「開発設計環境に特化した独立したシステム」と考えたので、専用に構成したハードウェアを新規購入しました。仮想化も考えましたが、3D CAD運用によって加速度的に増えるデータ容量に対応していく上では、独立したサーバ構成の方がその後の拡張も楽かなと判断したのです。
ハードウェアがセットされると、PDMシステムそのものについては、より具体的な検討と設定作業が始まります。
小規模ユーザーから中規模、大規模ユーザー、単一拠点から複数拠点、3D CADデータの移行有無、カスタマイズ有無などその条件によってスケジュールは変わりますが、私の会社の場合は上の参考例にあるようなスケジュールで進めることになりました。着手から4カ月目の稼働開始を目指しています。
参考までに、私の現場の場合、中規模ユーザー、単一拠点、カスタマイズなし、3D CADデータ移行なしでした。
PDMシステムへの実装に向けて、仕様確認が始まります。3D CADの特性を理解しながら、PDMのフォルダ構成を決めていきます。現在使用している3D CADには、次のような特徴があります。
内部パーツは1ファイル内で管理する部品やアセンブリを表現していて、全ての部品情報がアセンブリファイル内に存在しています。外部パーツは他のファイルから参照してきているパーツです。
外部パーツの実体は参照先に存在していています。言い換えると、外部パーツを持つアセンブリファイルは外部パーツの実態を持たず、ファイル名および配置情報(位置、向き)しか持たないということになります。すなわち、チーム設計を行う上では、有効なパーツ管理だということがイメージできますでしょうか?
また、この3D CADでは、アセンブリにおけるパーツファイルの検索が、次のような順序で実行されます。
もし、上記の1〜3で検索できなかった場合は、「未解決パーツ」となってしまい、アセンブリ上で欠落した状態になってしまいます。このあたりから、PDM内のフォルダ構成をどうすべきか、イメージすることができますか?
これらの確認作業については、3D CAD運用のためのプロジェクトの中で検討したこともあって、PDMの構成をどう考えるかという作業の中では、確認を行っていくだけの作業で済ませられました。また、運用ルール策定でも、検討内容をベースに策定を進めることも可能です。
現在導入している3D CADの特性や運用については、まだまだお話ししたいことがあります。あらためて紹介したいと思います。
前回に続き「設計者のためのPDM」をテーマに、今回はPDM導入のポイントとなるフォルダ構成に少し踏み込んだお話をさせていただきました。
紹介した私たちの取り組みは順調にこそ見えますが、運用評価となるとまだまだ課題が生じることでしょう。新たな3D CADの特徴を理解するとともに、PDM構築の挑戦は仲間と一緒に続けていきます。
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