3D CADデータの運用管理方法とは、3D CADデータの保存やデータ利用について、どのように考えるのかということです。そこでは、サーバ構成やバックアップまで考える必要もあります。
私はサーバ構成について次のことを考えました。
製造業と言っても、3D CADデータは“ソフト”(デジタルデータ)です。いつでも必要なデータを取り出せるということは日常業務でも、BCP(事業継続計画)としても必要な課題です。ただ、バックアップデータからの復元というのは、ちょっと不安もあります。
私自身、「サーバ側がRAID構成されるようになって、HDDが故障してもバックアップから復元した」というような経験はありません。また、設計環境によっては、良いか悪いかは議論が必要ですが、ローカルに3D CADデータを保存している場合もあるので、設計者からバックアップデータからの復元要求がない場合もあります。ただし、3D CADデータの冗長性を考えることは必要です。
要は、「3D CADのデータ共有をどう行って設計に活用するのか」ということになります。製品によっては、最新版のみを管理をしたり、ファイル名をユニークにすることで版管理することもありますが、私は、「何が最新版の3D CADデータなのか」「1つ前、2つ前の版の3D CADデータをひも付きで見たい」という考えがあります。
この考えの背景にあるのは、「3D CADデータとしての管理対象は、全て良品として出荷された製品である。製品の品質を高める目的で設計データが改良されることがあることから、改良前と後とで別製品として見るのではなく、それらが連携性を持った3D CADデータとして、誰もが間違えることなく管理したい」ということです。
部品形状を変更した場合、紙図面では図面番号と併せて改訂記号が用いられて、1つの紙図面の中で版管理もされていきます。その場合、3D CADデータ変更時に2D図面の改訂も行いますが、ここで改訂番号を付加させて改訂したとしても、PDM上は異なるバージョンの同一部品であって、図面番号そのものには変化がありません。もちろんPDM上では版管理は出来ていますが、3DデータがPDMの外に出た場合、版管理の情報が適切に伝わらない場合があります。
社内外を問わない加工部門で、同じ部品、さらにいえば同一図面番号のものを、定期的にまたは不定期に加工することがあります。そういう場合、図面を見ながら随時行われる加工ではなく、プログラム作成により加工が行われます。リピート加工時には、このプログラムが用いられる加工の場合には、図面番号管理で加工は行われ、紙図面を見ないということを聞きます。なので、最新版の紙図面を出図し、加工先に渡したとしても、先方が図面番号のみで加工データを管理している場合は、図面上の改訂点を意図的に確認しない限り、旧版のデータで加工を行ってしまう恐れがあるわけです。
これを回避するには、データ上の版管理を行いつつも、出図される図面番号に対しても改訂番号を付加させるような工夫が必要となるわけです。
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