コマツは、最先端テクノロジーの展示会である「CES 2025」に初めて出展し、月面や水中などの極限環境下に対応する建設機械の実現に向けた取り組みを紹介した。
コマツは、最先端テクノロジーの展示会である「CES 2025」(2025年1月7〜10日、米国ネバダ州ラスベガス)に初めて出展し、月面や水中などの極限環境下に対応する建設機械の実現に向けた取り組みを紹介した。
コマツは、2021年から国土交通省による「宇宙無人建設革新技術開発」の選定を受け、月面建設機械実現のための研究開発に取り組んでいる。今回はその月面機械のイメージを再現した実物大のモックアップを初出展した。
月面建設機械の開発に当たりコマツでは、サイバー空間上に月面環境と月面建機を再現し、掘削などのシミュレーションを通じて車体挙動の検証などを行っている。地球の約6分の1の重力や、−170〜+110℃までの温度変化のある極限環境下でも稼働する機械の在り方についてさまざまな検証をコマツ湘南工場内の開発本部先端・基盤技術センタで行っているという。「モックアップはコンセプトモデルだが、研究プロジェクトの中で進めてきたシミュレーションなどの結果をできる限り反映したものとなっている」(ブース説明員)。
地球での建設機械開発で培った知見をベースに、月面での使用を想定したハードウェア面での試行錯誤を進める他、月面での運用面で必要になる技術なども併せて開発を行っている。例えば、機器面では月に資材を送る必要性があることから軽量化を追求し、機体素材としてCFRPや軽金属の採用を想定する。また、電動化を想定し、水素や電池などのエネルギー源に合わせて、駆動の最適化や熱制御など設計の最適化を進めているという。
運用面では、月面に滞在する人員が少ないことが想定されることから、自動運転や遠隔運転機能、土壌の調査機能などを搭載することを想定し開発をしている。「同じ建機といっても月と地球では異なることが多い。ただ、月の環境を地球で再現することはできないのでデジタルシミュレーション技術を駆使しながら開発を進めている」(ブース説明員)としている。
一方で地球内の難作業環境での作業を支援するために開発を進めているのが、水中での施工用の建設ロボットだ。コマツは1971年にラジコン操縦の水陸両用ブルドーザーの量産を開始し、各地の河川、海岸、ダムなどでの水中工事や災害復旧で使用されてきた。
今回は、未来の水中工事に向けて、最新テクノロジーを搭載した水中施工ロボットのコンセプトマシンを初出展した。このコンセプトマシンは、容易に遠隔操縦でき、高精度な施工を実現することを基本コンセプトとして設計。バッテリー駆動で水深7mまで対応可能としている。実証実験を通じて、遠隔操縦で浚渫作業ができることや、電動駆動の実用性を確認したとしている。CES2025では、実証実験に使用した実機を日本から輸送して展示している。将来的には、水深50mまでの稼働を目指し開発を推進しているという。
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