3D CADが使えるからといって、必ずしも正しい設計ができるとは限らない。正しく設計するには、アナログ的な知識が不可欠だ。連載「若手エンジニアのための機械設計入門」では、入門者が押さえておくべき基礎知識を解説する。第16回は、前回解説したワイブル解析で得た故障傾向をFMEA/DFMEAへどう展開し、設計改善やCAE検証につなげるか、その基本的な流れを整理する。
前回説明した通り、「ワイブル解析」によって寿命のばらつきや故障の傾向を捉えることができます。
しかし重要なのは、その結果を読み取ることだけではなく、設計にどう反映するかです。解析はあくまで現象を把握するための出発点です。設計者に求められるのは、その結果から「なぜその寿命になるのか」を考え、構造を見直していくことです。
そこで重要になるのが「信頼性設計法」です。信頼性設計とは、故障を未然に防ぐために設計段階でリスクを洗い出し、対策を組み込む考え方です。壊れてから対応するのではなく、壊れ方をあらかじめ想定し、設計でつぶしていくアプローチです。
信頼性設計を考える上で重要なのは、「故障は起き得る」という前提に立つことです。完全に壊れない製品は存在しません。そのため設計者は、
を事前に考え、その原因を設計段階で取り除く必要があります。ここで重要なのは、経験や勘ではなく、データに基づいて考えることです。ワイブル解析はその出発点となります。
ワイブル解析により故障の傾向を把握します。β>1であれば摩耗/劣化型であり、設計要因に依存する故障であることが分かります。ここでは「寿命」ではなく「壊れ方」を理解することが重要です。
次に行うのが「FMEA(Failure Mode and Effects Analysis:故障モード影響解析)」です。FMEAは、故障モードとその影響を体系的に整理し、リスクの優先順位を決める手法です。初めて学ぶ方は、「壊れそうな箇所を事前に洗い出す設計レビューの仕組み」と捉えると理解しやすいでしょう。
FMEAの基本構成は以下の通りです。
ここでのポイントは、「現象を網羅的に整理すること」です。
表1は、ベアリングにおける代表的な故障を整理したFMEAの一例です。
| 機能 | 故障モード | 故障影響 | 原因 | S | O | D | RPN | 対策 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 回転支持 | 摩耗 | 精度低下 | 面圧過大 | 8 | 6 | 5 | 240 | 接触面積拡大 |
| 回転支持 | 焼き付き | 回転停止 | 潤滑不足 | 10 | 4 | 6 | 240 | 給脂改善 |
| 荷重支持 | 疲労破壊 | 異音/破損 | 偏荷重 | 9 | 5 | 5 | 225 | 芯ずれ対策 |
| 潤滑維持 | 潤滑切れ | 摩耗促進 | シール不良 | 8 | 5 | 4 | 160 | シール改善 |
| 環境耐性 | 異物混入 | 損傷 | 防塵不足 | 7 | 6 | 4 | 168 | 防塵構造追加 |
| 表1 例:ベアリングのFMEA | ||||||||
FMEAの本質は、「故障を網羅的に洗い出し、どの故障が問題になるのかを整理した上で、リスクの優先順位を決めること」にあります。重要なのは、設計改善に直結させることももちろんですが、その前段として、どの故障が問題になるのかを整理することです。
このFMEAでは、以下のように機能ごとに整理しています。
FMEAでは、単純に部品単位で並べるよりも、機能単位で整理した方が抜け漏れが少なくなります。
例えばベアリングは、
といった複数の役割を持っています。
つまり、機能ごとに壊れ方を考えることで、網羅性が担保されるのです。
FMEAにおける故障モードとは、故障がどのような形で現れるかを示すものです。
例えば、
といったものが該当します。
ここでのポイントは、細かく分け過ぎず、現象として整理することです。
FMEAの段階では、「摩耗の詳細なメカニズム」や「応力状態」まで掘り下げる必要はありません。まずは何が起きるかを広く拾うことが目的です。
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