ワイブル解析からFMEA、DFMEAへ 故障を未然に防ぐ信頼性設計の基本若手エンジニアのための機械設計入門(16)(3/3 ページ)

» 2026年05月11日 08時00分 公開
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設計に故障モードを落とし込むDFMEA(設計故障モード影響解析)

 では、設計に故障モードを落とし込むにはどのような手法があるのでしょうか。

 FMEAで整理した故障モードは、そのままでは「現象の一覧」に過ぎません。ここから一歩進め、設計に反映させるためには、故障モードを設計パラメーターに変換する必要があります。

 これが「DFMEA(Design Failure Mode and Effects Analysis:設計故障モード影響解析)」の役割です。FMEAが故障リスクを整理する手法だとすれば、DFMEAはそれを設計変更に結び付けるための考え方と捉えると理解しやすいでしょう。

 ここでは、FMEAで整理した内容を設計視点で具体化するものとして、DFMEAを説明します。

 具体的には、次のようなステップで進めます。

(1)故障モードを機能低下として捉える

 まず、故障モードを「機能の崩れ/機能低下」として再定義します。

 例えばベアリングであれば、

  • 摩耗 → クリアランス増大 → 回転精度低下
  • 焼き付き → 回転不能
  • 疲労破壊 → 振動/異音発生

と捉えます。

 このように、単なる現象ではなく「何が成立しなくなるのか」を明確にします。

(2)原因を設計で制御可能な要素に分解する

 次に、その原因を設計で制御可能な要素に分解します。例えば、

  • 面圧が高い
  • 接触面積が小さい
  • 偏荷重がかかっている
  • 潤滑が不足している
  • 材料特性が不足している

といった要素です。

 ここでのポイントは、必ず設計変更で対応可能な形にすることです。

(3)設計パラメーターへ変換する

 さらに一歩進めて、以下のように設計値として扱える形にします。

  • 面圧 → 接触面積、荷重分布
  • 偏荷重 → 公差、芯ずれ量
  • 潤滑不足 → 油路形状、給脂量
  • 材料 → 硬度、表面粗さ

 この段階で初めて、図面や3Dモデルにパラメーターとして落とし込める状態になります。

設計に落とし込んだ内容をどう検証するか

 ここまでの検討はあくまで仮説です。本当にその対策が有効かどうかは、検証しなければ分かりません。試作/製作時に検証を行うことが一般的ですが、筆者として推奨するのが、CAEによる検証です。

 FMEA/DFMEAで整理した故障モードや設計パラメーターを、CAEでどう検証につなげるかも、信頼性設計では重要な考え方です。

 次回は、このCAEによる検証まで含めて考えるDFMEAについて、さらに詳しく解説します。お楽しみに! (次回へ続く)

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著者プロフィール

土橋美博(どばし よしひろ)

半導体組み立て関連装置メーカー、液晶パネル製造関連装置メーカーを経て、「メイドINジャパンを、再定義する。」有限会社スワニーに入社。CIOとして最新デジタルツールによるデジタルプロセスエンジニアリング推進に参画する。

ソリッドワークス・ジャパンユーザーグループ(SWJUG)、ワールドワイドのソリッドワークス・ユーザーグループネットワーク(SWUGN)のリーダーも務める。


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