ワイブル解析からFMEA、DFMEAへ 故障を未然に防ぐ信頼性設計の基本若手エンジニアのための機械設計入門(16)(2/3 ページ)

» 2026年05月11日 08時00分 公開

3.故障影響の意味

 故障影響は、「その故障が起きたときに何が困るか」を示します。

 例えば、

  • 精度低下
  • 回転停止
  • 異音/振動
  • 寿命低下

などです。

 ここでのポイントは、ユーザー視点で影響を考えることです。

 例えば「摩耗」自体は問題ではなく、

  • 精度が出ない
  • 製品として使えない

という状態が問題です。

4.原因の扱い方(FMEAとしての考え方)

 FMEAでは原因も記載します。

 例えば、

  • 面圧過大
  • 潤滑不足
  • 偏荷重
  • シール不良

などです。

 ここでのポイントは、現象の原因を大まかに把握することです。FMEAでは、原因を完全に特定するというよりも、どこに設計上の問題がありそうか、その方向性を整理します。

5.S/O/Dの考え方

 FMEAの核心は評価です。評価では、S(Severity:重大度)O(Occurrence:発生頻度)D(Detection:検出性)を用います。

  • S(Severity:重大度):故障したときの影響の大きさ
     → 回転停止は最大(10)
  • O(Occurrence:発生頻度):どれくらい起きやすいか
     → 摩耗は比較的高い
  • D(Detection:検出性):事前に気が付けるか
     → 潤滑不足は検出が難しい

6.RPNの使い方

 「RPN(Risk Priority Number)」は、RPN=S×O×Dで算出されます。一般的に、RPNが高いほど優先して検討すべきリスクであると考えます。

 例えば、

  • 摩耗:240
  • 焼き付き:240
  • 疲労破壊:225

と計算され、この値により、どの故障から対策を考えるべきかの目安が分かります。

 ただし、RPNはあくまで目安です。実務では、

  • 重大度が高いもの(停止/安全)を優先
  • 次に発生頻度
  • 検出性は補助

という順で判断します。つまりFMEAは、原因を完全に特定するものではなく、原因の方向性を示すものといえます。

7.対策欄の位置付け

 FMEAにおける対策は、「すぐに設計変更する」ためのものではなく、検討方向を示すものです。

 例えば、

  • 接触面積拡大
  • 給脂改善
  • 芯ずれ対策
  • 防塵(じん)構造追加

といった対策が考えられます。

 この段階では、本当に効果があるか、どの程度改善するかまでは確定していません。まずは対策の方向性を整理し、その後の設計検討や検証につなげることが重要です。

FMEAの役割まとめ

 FMEAは、

  • 故障を網羅的に洗い出す
  • 影響を整理する
  • 優先順位を決める

ためのツールです。

 つまり、「どこが危ないか」を可視化するものです。

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