「デトロイトモーターショー2016」では、和製スポーツカーの競演や、ピックアップトラックの各社の新モデル、そしてセダンの復権が垣間見えた。各社のエコカー開発競争や、ディーゼルエンジンの排気ガス不正問題と向き合うVolkswagenグループの姿勢もうかがえた。華やかさを取り戻しつつあるデトロイトモーターショーを振り返る。
世界経済への不安感が払拭できない状況ではあるが、2016年の「北米国際自動車ショー(通称:デトロイトモーターショー、以下、デトロイトショー)」はいくぶん活気を取り戻した感がある。デトロイトショー開幕前夜に行われた「ダイムラー・ナイト」のレポートでも触れた通り(関連記事:新型「Eクラス」は「Sクラス」に比肩、ダイムラーが2016年も攻勢へ)、原油価格が下がり、景気の回復材料を見て取れたことが多分に影響している。ここ数年、出展内容で競合していた感があった消費者向けエレクトロニクス展示会「CES」とのすみ分けも明確になり、2016年は61車種のワールドプレミアがそろうなど地位を取り戻しつつある。延べ来場者数は、2015年の80万8775人と比べて微増の81万5575人。メディア関係者は約60カ国から5068人が来場するという盛況ぶりだった。
デトロイトショーの恒例行事である北米カー・オブ・ザ・イヤーは、2016年で23回目を迎えた。乗用車部門の最終選考に残ったのはGeneral Motors(GM)のシボレーブランド「マリブ」、マツダの「ロードスター」、ホンダ「シビック セダン」の3台で、強豪ひしめく決戦となった。北米市場で浸透しているマリブや破竹の勢いのロードスターを抑えて、米国で開発/生産されるシビック セダンが受賞したことは特筆すべきだろう。
同賞のトラック&SUV部門は、Volvo Cars(ボルボ)の「XC90」が受賞した。ホンダ「パイロット」と日産自動車「タイタンXD」がライバルだったのだが、XC90の受賞に異論を唱える人はいないだろう。高級感を高めた内外装に加えて、プラグインハイブリッドのパワートレインもそろえるなど都会派SUVのお手本ともいえる出来である。
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