ホンダは「総合モビリティカンパニー」を目指すための人事制度について説明会を開いた。
ホンダは2025年1月17日、「総合モビリティカンパニー」を目指すための人事制度について説明会を開いた。ホンダ 取締役 代表執行役副社長の貝原典也氏は「これまでの歴史の中で、失敗しない仕組みが作り上げられてきた。その仕組みに従えば大きな失敗はしないが、大きな変化に太刀打ちできない。新たなチャレンジで価値を生み出すことが求められている」と企業風土や働き方に危機感を示した。
そこで、組織風土改革プログラムの実施やソフトウェアエンジニアの働く場所の拡充、役職者制度の改定、高い技術や技能を持つ一部の従業員の定年制度廃止、生成AIのエキスパートが活躍する環境の整備などさまざまな施策を打つ。また、ソフトウェアや電動化など注力領域の人材育成に今後5年間で150億円を投資する計画だ。
ホンダは「個の違いを認め合い尊重する企業風土」を土台に、「大胆かつ柔軟な人材獲得と育成」「主体性の尊重と実力主義の徹底」を推進する。
「個の違いを認め合い尊重する企業風土」に関しては多様な働き方を整備してきた。定年のタイミングを満60〜65歳の誕生月末日もしくは満60〜65歳の誕生月末日から6カ月後のいずれかで従業員が選択できる選択定年制、コアタイムなしの午前6時半〜午後10時までのフレックスタイム制、育児や介護の他、疾病治療、障害に対応した短日数勤務や短時間勤務、育児や介護に加えて不妊治療、配偶者転勤に対応した休職制度などを整備してきた。
2025年6月からは、高度専門人材を対象に定年制度を廃止する。少子高齢化の中で新たな仕事も増えていくが、既存の事業に対する知見が失われていく懸念がある。そこで、今後も使えるスキルを持つ人には定年に関係なく残ってもらうことで、新領域の人材を厚くする考えだ。
また、個々人や管理職を対象に6つの行動要件をまとめた企業風土改革プログラム「Honda 6 ACTIONS for Change」も推進する。4部門でトライアルを実施し、一定の成果が見えてきたため全社に展開する。
「大胆かつ柔軟な人材獲得と育成」では、ソフトウェアをはじめとする注力領域の人材を対象にキャリア採用を強化してきた。ソフトウェアエンジニアが働く場所を栃木県内と東京都内以外にも拡充し、大宮や名古屋、大阪、福岡にもソフトウェア開発拠点を設けた。さらに2025年4月には大阪で、2026年には東京で新たなソフトウェア開発向けオフィスを開設する計画だ。
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