インド工科大など海外大学を対象とした採用イベントを実施するなど、海外採用も拡充している。インドやベトナムなど10カ国以上で採用実績があり、1年に60人が日本で働き始めた。日本語を要件としない採用も広げている。
既に働いている社員に向けては、ソフトウェアや電動化の教育プログラムも提供している。担当業務に関係なくホンダの一員として把握すべきポイントをまとめており、2023〜2024年は3万人が受講した。今後グローバルで8万人に受講者を増やす。社内外のコンテンツによるオンライン講座、エキスパート向けの研修や書籍購入、資格取得などを支援するエキスパート基金なども提供している。
グローバル人材の育成に関しては、キャリア早期の若手からグローバルリーダーとしての基盤形成を行い、課長層や部長層へと段階を踏んで育成プログラムを展開している。
2024年からは、新価値探索プログラム「MINERVA」を開始した。日常から離れたフィールドワークと、その体験で得たことをメンバー同士でぶつけ合うワイガヤによって新たな価値を探索するという。従来はカイゼンスキルを強化するQCサークル活動が行われてきたが、価値創出のスキルも必要だという狙いからMINERVAがスタートした。13チーム55人が参加した。
「主体性の尊重と実力主義の徹底」では、2025年6月に役職者の給与/評価制度を大幅に改定する。経営事業基盤の変革をリードする「トランスフォーメーション」職と、技術革新や新事業の創出をリードする「イノベーション」職の2つに給与/評価体系を分ける。トランスフォーメーション職は年齢に関係なく役割と実力に応じた報酬が得られる制度で、画一的な年功序列から脱する。イノベーション職は、能力や専門性の発揮をダイレクトに処遇に反映させる。
半導体やAI(人工知能)などの領域で高度な専門性を生かして変革をリードしていく人材には、市場価値に照らして柔軟に報酬や労働条件を提示する。一般の従業員とは異なるプロフェッショナル人材として採用する。
生成AIのエキスパート向けには、認定レベルに応じて月に最大15万円のエキスパート手当を支給する。プログラムが書けるレベルから、生成AIに関する高い知識や技術、経験を生かしてシステム構築できるエキスパートまでを社内で発掘、認定する。AIの勉強会が自然発生したことをきっかけに、全社的な取り組みに広がった。認定を受けた従業員はプロジェクトにアサインし、組織の枠にとらわれずに活躍してもらう。
また、部長職相当を対象に年収を200万〜300万円引き上げる。課長職などその下の等級の管理職も年収を増やし、採用市場での魅力を高める。さらに、役員に導入していた株式報酬を役職者の一部にも提供する。
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