日産ホンダの検討事項は協業から経営統合へ、ただし「自立」が前提製造マネジメントニュース(1/3 ページ)

日産自動車とホンダは共同持株会社設立による両社の経営統合に向けた検討に関する基本合意書を締結した。

» 2024年12月24日 07時30分 公開
[齊藤由希MONOist]

 日産自動車とホンダは2024年12月23日、共同持株会社設立による両社の経営統合に向けた検討に関する基本合意書を締結したと発表した。今後、統合準備委員会を設置し、デューデリジェンスや協議を集中的に行う。機密情報のやりとりが発生することを踏まえて基本合意書を締結した。

 両社はそれぞれの株主総会の承認や関係当局の許認可を得ることを条件に、共同株式移転により両社の完全親会社となる共同持株会社を設立し、日産自動車とホンダは共同持株会社の完全子会社となる予定だ。両社のブランドは存続させ、等しく発展させるとしている。

 経営統合の検討は、日産自動車の事業構造改革「ターンアラウンド」が着実に実行されることが前提となる。ホンダ 社長の三部敏宏氏は「自立した強い企業同士、イノベーションによる成長を目指す中で経営統合していくべきで、自立した2社でなければ経営統合が成就することはない。経営統合の実現に向けては検討、議論すべき点がある。さまざまなステークホルダーにとってベストな選択だと納得してもらえるよう検討していく必要があり、成就しない可能性もゼロではない」とコメントした。

 日産自動車 社長の内田誠氏も「どちらかが依存するのではなく、互いに成長することで掛け算となり、大きな力に変えていきたい。そのためにもターンアラウンドの成果を1日も早く形にしていきたい」と述べた。

 共同持株会社の設立に至った場合、経営統合の効力発生日時点の共同持株会社の社内取締役と社外取締役はそれぞれの過半数をホンダが指名する。共同持株会社の代表取締役社長(または代表執行役社長)はホンダが指名する取締役の中から選定する。ホンダがリードする体制となるのは現状の時価総額を比較した結果だとしている。「ホンダがずっとリードし続けるわけではない」(三部氏)

写真左から日産自動車の内田誠氏、ホンダの三部敏宏氏[クリックで拡大] 出所:日産自動車

今後のスケジュールは?

 まずは2025年1月末をめどに「経営統合の可能性について方向性を見いだすべく検討を進める。この時点で何らかの判断をして、いけるとなればさらに協議する」(三部氏)。

 その後は、株式移転計画を含む最終契約書の締結が2025年6月、両社の臨時株主総会での株式移転承認決議が2026年4月、東京証券取引所での日産自動車とホンダの上場廃止日が2026年7月末〜8月、株式移転の効力発生日が2026年8月と現時点では予定されている。設立を検討している共同持株会社の株式は、東京証券取引所のプライム市場に新規上場申請する予定だ。

 共同持株会社の上場に伴い両社は上場廃止となる見込みだが、株主は株式移転で交付された共同持株会社の株式を引き続き東京証券取引所で取引できるという。株式移転比率は、本件発表前の一定期間における両社の株式終値の平均値も参照しながら、デューデリジェンスの結果や第三者算定機関による算定などに基づいて、最終契約書締結時までに決定するとしている。

 共同持株会社の名称や本店所在地、代表者、役員構成、組織などについては、統合準備委員会の協議や検討、今後実施するデューデリジェンスの結果などを踏まえて最終契約書締結までに決定する。

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